サザナミフグさんがこれから巻き起こすことは何でしょうか?
- サザナミフグさんの体の色は明るい灰色などで体は小さなトゲで覆われていて鼻孔にはふたつの小さな皮弁がちょこんとあります・・・サザナミフグさんの体には白点が見られますが幼魚と成魚では異なっていて幼魚では体の色がかなりの暗色で腹の部分にさざなみ状の筋がはっきりくっきりと見られます・・・成魚でも腹部に波状の筋が見られますが太くて全体に腹部が白っぽく見えるようになります・・・お腹にさざ波のような白い模様があることからサザナミフグという名前になったそうです・・・水面上を風が吹き始めると最初にさざ波が発生しますがこれから何かが始まるような何かを巻き起こすような想いを馳せられる名前の付け方いいですよね。

- サザナミフグさんは暖かい海で暮らしていて水深は3~35mぐらいの河口やサンゴ礁のような浅い海の砂底を好みタイドプールなどにもいます・・・サザナミフグさんはフグの中では中程度の大きさで最大50cm程度まで大きくなり体型は一般的にフグ型と称される楕円形をしていて頭部が大きく尾柄部が側扁しています・・・サザナミフグさんの目や胸びれの周りには同心円状に広がる白色と濃い灰色の線が入っているのが特徴です・・・餌としてはサンゴ藻や軟体動物やホヤやカイメン・カニ・ウニ・ヒトデなど雑食性でいろいろなものを食べます。

- サザナミフグさんは国内では津軽海峡以南の太平洋側と日本海側・伊豆諸島・小笠原諸島・琉球列島などで見られます・・・また幼魚は河口の汽水域に侵入したり流れ藻について沖合を漂うこともあるそうです・・・サザナミフグさんは小さな子供なのになかなかの冒険家ですよね!寂しくないのでしょうか?・・・サザナミフグさんは大人になると夜行性で単独行動をしており縄張りを形成し同種の他個体が侵入した場合などは攻撃します・・・また肝臓や卵巣などに強い毒を持っており筋肉にも毒性があるとされるだけでなく皮膚からも毒を出すそうです・・・サザナミフグさんはかわいい顔をしてるのにさわらぬ神に祟り無しですね!

不思議な雰囲気のシチセンチョウチョウウオさん!
- 昨晩眠れなかったのか虚ろな瞳でチョコチョコ泳ぎまわっているのはスズキ目チョウチョウウオ科チョウチョウウオ属のシチセンチョウチョウウオさんです・・・虚ろな瞳で寝ぼけているのかというと全くそうではなく写真を撮ろうとしてもサッと素早く泳いでいなくなってしまいます・・・シチセンチョウチョウウオさんは雑食でサンゴのポリプを主として底生の小動物や藻類などを食べながら単独またはペアで生活しています・・・下の写真のシチセンチョウチョウウオさんもサンゴさんのポリプを食べようとしているのか?・・・それとも底生の小動物を見つけて狙いを定めているのでしょうか?・・・「お!見つけた!」と何か狙いを定めている様な仕草ですね・・・お腹いっぱいになることを期待してます。

- シチセンチョウチョウウオさんの全長は12cm程度の大きさで黄色または茶色がかった黄色をベースにたくさんの黒の斑点と7本の縦ラインが並んでいます・・・7本の縦ラインといっても薄かったり多く見えたりで名前にシチセンが付いているとは思えないほど微妙なラインとなっています・・・またシチセンチョウチョウウオさんの頭頂部付近には黒い斑があり目を通る黒く縁取られた黄色やオレンジ色の帯も見られます・・・シチセンチョウチョウウオさんの頭頂部にある黒い斑点が私には角の様に見えて強そうな印象を与えてくれます・・・またシチセンチョウチョウウオさんの尾鰭基部はちょっと下の写真ではわかりづらいのですがオレンジ色になっていて尾鰭には黒い横帯が見られ尾鰭の後端は透明になっています。

あれ?このシマウミスズメさんは左目の上に棘がない?
- フグ目ハコフグ科コンゴウフグ属に属するシマウミスズメさんですが仲間にはウミスズメさんとコンゴウフグさんがいます・・・ハコフグさん達は皮膚に骨板が発達していてそれらが多数絡み合って全身を装甲する硬い甲羅を構成しています・・・そのため他のフグさんの様に膨らむことはありません・・・全体の形は丸みを帯びた箱状となっており泳ぐ能力はあまり優れていないようですが色も美しく小さなヒレを使ってチョコチョコチョコと泳ぐ姿がとても愛らしいお魚さんです・・・歯は全部が融合してペンチ状の歯板を形成することはなくカワハギさんなどと同様にくちばし状の吻の先端にノミ状の歯が集まった形状になっています・・・シマウミスズメさんは黄色からオレンジ色の体色で体側から背側には鮮やかな青色の虫食い状の線や斑が見られるのが特徴ですがこの模様は生きている時だけで死んでしまうとくすんだり消失したりするのだそうです・・・シマウミスズメさんの大きさは20cm程度までになり群れを作らず単独で沿岸のサンゴ礁域や岩礁域で底生動物などを食べて生活しています・・・シマウミスズメさんは目の間から1対の棘が前方に飛び出ていて臀ビレの起部の前には後ろ向きの棘があり背にも1本の棘があります・・・口は少し尖ったおちょぼ口で虹彩はきれいなエメラルドグリーンをしています。

- コンゴウフグさんの体長は30~50cmくらいで黄色い身体に眼としりびれのあたりに1対の棘が伸びておりこの棘は成長すると長くなりますが老成するとなぜか短くなるそうです・・・この棘が古代インドの法具である金剛杵に似ているためこの和名がついたそうです・・・ウミスズメさんは体長は25-30cmくらいで眼の前方に前向きの棘と臀ビレの起部の前には後ろ向きの棘がありこれらの棘はコンゴウフグさんほどではないですがいずれも長くて大きなものです・・・またコンゴウフグさんとは異なり背側の中央にも後ろ向きに伸びる棘があります・・・ウミスズメさんの体の色は茶色~黄褐色ですが若魚の腹面は半透明になっていて光を透かすと腹底の水が輝いて美しく見えるためミズカゴさんという別名もあります・・・ウミスズメさんは捕食者から身を守るため皮膚からサポニンのような毒を含む粘液を分泌しており不用意に刺激すると毒を多量に放出するそうですがこのとき周囲の魚だけでなく自分まで死んでしまうことがあるそうです。
遠目ではシマキンチャクフグさんもノコギリハギさんも同じ?
- シマキンチャクフグさんは全長10cm前後の小型種で体側に大きな鞍状斑がありますがよく似たフグさんにハナキンチャクフグさんとクマドリキンチャクフグさんがいます・・・シマキンチャクフグさんとハナキンチャクフグさんとの違いはハナキンチャクフグさんには橙色の縁取りがあることです・・・シマキンチャクフグさんとクマドリキンチャクフグさんとの違いはクマドリキンチャクフグさんの吻に暗色横帯があることです・・・シマキンチャクフグさんは比較的暖かい海で暮らしていておとなしい性格ですがフグ科のキタマクラ属に属しているお魚さんでフグ毒を持っています・・・小さなかわいいフグさんなので食べることはないと思いますがご注意ください・・・ちなみにキタマクラさんは名前が死者を安置する時の北枕に由来するとされていてなんとも恐ろしい名前を冠した有毒なお魚さんです・・・そんな名前をもっているキタマクラ属に属しているなんてかわいい顔をしてなかなかのものです。

- また種類は全く違いますがシマキンチャクフグさんに姿がそっくりなフグ目カワハギ科に属するノコギリハギさんという方達もいます・・・このノコギリハギさんは毒をもつシマキンチャクフグさんに擬態することで毒をもっていないのに「俺は毒をもっているんだぞ!食べられないぞ!食べたら大変なことになるぞ!」とアピールして自分を守っているのです・・・なかなか賢いノコギリハギさんですよね・・・ちなみに上の写真はシマキンチャクフグさんで下の写真はノコギリハギさんだと思うのですが如何でしょうか?

- ノコギリハギさんとシマキンチャクフグさんの違いは第2背ビレの形が1番のポイントでノコギリハギさんは背ビレの基底部が幅広く長方形のような形をしているのに対してシマキンチャクフグさんの第2背ビレは他のフグ科の魚と同じように幅の短い扇型をしています・・・その他にノコギリハギさんは背中の頂点にカワハギさんのような第1背ビレがありますがシマキンチャクフグさんはこの部分は平らで何もありません・・・また尻ビレもノコギリハギさんは通常の魚のように身体の中央部分から始まり尾の付け根まで続く長いヒレですがシマキンチャクフグさんは後部にウチワのような幅の短い尻ビレを持っています・・・下の写真はヒレがよくわからないのですがおそらくシマキンチャクフグさんではないかと思います?

シマタレクチベラさんはお洒落をしているのかな?
- 派手な化粧をしていますがよく見るとちょっと愛嬌のある顔をしたお魚さんがのそーっと近づいてきました・・・これはスズキ目ベラ科タレクチベラ属のシマタレクチベラさんではないでしょうか?・・・同じ属のタレクチベラさんによく似ていますがシマタレクチベラさんには体側に幅が広くちょっと地味な黒色の横帯が数本あるのが特徴です・・・また先ほども申しあげましたがシマタレクチベラさんの頭部は地味な身体とは対照的に派手な色彩をしています・・・それから唇は分厚くちょっと下向きになっているので他のお魚さんと区別するのは容易なのですがこの下向きの分厚い唇で底生生物を砂ごと口に入れて余分な砂を鰓から吐き出して捕食しています・・・シマタレクチベラさんは海域や個体によって色彩が大きく異なる場合があり大型個体では体長80cmに達するものもいます・・・ちなみにシマタレクチベラさんの幼魚は緑色で白色の横帯があります。

- シマタレクチベラさんによく似ているスズキ目ベラ科タレクチベラ属のタレクチベラさんは体長は80cm前後でサンゴ礁域や岩礁域で暮らしています・・・タレクチベラさんの身体の色は前半部が明色で後半部は暗色の2色に分かれていますが若魚では2色の間の白色がくっきりとしています・・・タレクチベラさんもシマタレクチベラさんと同じで唇がぶ厚いのが特徴で底生生物を砂ごと口に入れて余分な砂を鰓から吐き出して捕食します・・・タレクチという名前もここから来たのでしょうか?・・・タレクチベラさんのオスは全体的に暗色ですが腹部に白色の三角形の斑紋を残すものが見られます・・・タレクチベラさんのメスの体色は前方が白く後方が暗色に染め分けられ水中でもよく目立っています・・・話は変わりますがこの写真のシマタレクチベラさんの眼の後ろの黒斑が本当の目に見えてしまって仕方が無いです。
歯をむき出しにして怖い顔のシロワニさんだけど!
- 久しぶりに小笠原の海に行ってきましたが2クールの間ずっと天気が良く気持ちの良いダイビングができました・・・まずは世界中の暖かい海の沿岸で暮らしているネズミザメ目シロワニ科シロワニ属のシロワニさんですが大型のサメさんで全長3mにもなります・・・シロワニさんの体型は流線型で肩?の辺りが太くとても重量感があり背側の体色は褐色から灰色になっていて腹側は白くなっています・・・シロワニさんの幼魚期の頃は体側に不鮮明な薄色斑が見られることもあるそうですが成魚になると消失してしまいます・・・シロワニさんの吻はやや扁平な円錐形で口は大きく何故か常時半開きになっています・・・両顎の歯はほぼ同形の牙状で最前歯だけでなく後ろの数列も立ち上がり歯がずらりと並んだ外見は恐ろしい印象を与えます。

- シロワニさんの性格は見かけによらず大人しく人を襲うことは無いとされていますがそれでも全く安全という訳では無いので刺激し過ぎないように注意しましょう・・・それからシロワニさんの2基の背鰭はほぼ同じ大きさなのですが尾鰭は上葉が長く伸びていてなかなかお洒落でかっこいいです・・・今回はケータ島のポイントなんですがもうすぐエキジットという時に遠くに大きな影が見えましたので慌てて近づいてみると何とそれが大きなシロワニさんでした・・・シロワニさんの活動は夕方からで昼間は岩陰などでじっとしていることが多いのですがこのシロワニさんは我々の前に悠々と現れてくれたのです・・・ありがとうございますシロワニさん!!・・・シロワニさんは他のサメさんと同様浮き袋は無いのですがシロワニさんは水面で空気を吸い込み浮き袋の代わりに胃に空気を溜めることができるそうです・・・胃に空気を貯めてるなんて食事する時大丈夫なのでしょうか?食事の時ゲップでもするのでしょうか?

- それからシロワニさんはネズミザメ目に見られる卵食型に分類されますがシロワニさんの場合はその最も特殊化したタイプで未受精卵だけでなく同じ子宮内の他の胎仔も捕食する卵食・共食い型なのです・・・シロワニさんは55mmで孵化し生まれたシロワニさんのおちびさんは未受精卵や他の胎仔を食べるようになります・・・生まれてすぐに弱肉強食の世界に放り込まれしかも身近で戦い生き残ったシロワニのおちびさんだけが生まれる事ができるなんて凄過ぎますがサメさんには子宮が2つありますのでそれぞれに1尾の胎仔が生存競争で生き残ることができるのです・・・だからシロワニさんの産仔数は最大で2尾となるのですが産まれてくるシロワニのおちびさんの大きさはすでに約1mにもなるそうです・・・生まれてきたシロワニさんの主な餌はサメさんやエイさんを含む魚類や甲殻類や頭足類などです。

- ところでシロワニさんはサメさんなのになぜワニという名前が付けられているのでしょうか?・・・一説にはシロワニさんは体型が太く流線型であり特に頭部がワニさんに似ているからワニという名前が付いたとか・・・シロワニさんは鋭い牙状の歯を持ちその歯並びがワニの歯に似ていることからその名前が付いたとも言われています・・・確かにいつも半開きの口にこの鋭い歯はワニさんのようにも見えますね・・・それ以外には島根県と兵庫県の一部の地域ではサメさんをワニと呼ぶことが一般的でシロワニさんもその一環としてワニと呼ばれているのではという説もあります・・・いずれの説が正しいのかはたまたすべて正しいのかよくわかりませんがワニという名にふさわしい立派なシロワニさんでした。

- シロワニさんは最大全長3mを超える大物ですが未確認の記録で最大全長4mを超えるものもあるとされています・・・口は大きく常時半開きになっていて牙状の歯がずらりと並んで外見は恐ろしい印象を与えるシロワニさんですが歯がフォークの様な形になって尖っているので口を閉じられないのでしょうか?・・・お母さんのお腹の中で兄弟を食べてしまう卵胎生のシロワニさんの話はちょっと怖いですが生まれながらにして弱肉強食の世界を勝ち抜いてきたシロワニさんが遠くから尾鰭をフリフリゆっくりと近づいてきましたがなかなかの迫力です・・・卵を産む動物達は卵を沢山産みますが卵の状態ではほとんど捕食者に食べられてしまいますし孵化した後も成長するまで弱いので大きくなれる個体の数はそう多くありません・・・シロワニさんは妊娠期間9-12ヶ月で安全な子宮内で保護され出産直後でも体長1mの立派なサメさんとなっており簡単に捕食者に食べられることはないのです・・・このシロワニさんは世界中の暖かい海に生息しているそうですが実は国際自然保護連合(IUCN)に絶滅危惧種として登録されていて日本では小笠原諸島でしか観察されていないのです。





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