黄金のピースを背中に掲げたノコギリダイさん! 小笠原

- どこまでも青く透き通る小笠原の海・・・そこに数百匹のスズキ目フエフキダイ科ノコギリダイ属のノコギリダイさん達が美しい群れでやってきました・・・彼らはまるで一つの生命体のようにぴったりと息を合わせてホバーリングをしながら右へ倣え左へ倣えと寸分の狂いもなく同じ向きに泳ぐ完璧な集団行動を行っています・・・日中はこうして大群を作り大型の回遊魚などの外敵から身を守るためにじっと耐えているのです・・・サンゴ礁に暮らす若いノコギリダイさんも大勢の仲間たちと一緒に群れの中で暮らしていましたがいつも目立たないように他のお魚さんの後ろに隠れてばかりいる臆病な性格でした・・・しかし毎日同じ場所でただホバーリングし続けるだけの集団行動に若いノコギリダイさんは息苦しさも感じていました。


- そんなある日突然の強い潮流に流された若いノコギリダイさんは仲間たちとあっという間にはぐれてしまいます・・・気がつくとあたりは薄暗く見知らぬ深い岩陰となっており若いノコギリダイさんはちょっとパニックに陥ってしまいました・・・「どうしよう?集団行動が息苦しいなんて考えていたからばちがあたったのかな?」と不安顔です・・・でもふと自分の背中を見るとそこには太陽の光を閉じ込めたような鮮やかな黄金の斑紋が強く輝いていました・・・そしてその光に引き寄せられるように同じようにはぐれて迷子になっていた他の小さな仲間たちが若いノコギリダイさんの元へと集まってきます・・・「僕が不安に思っているばかりじゃいけない。この小さな仲間たちを元の群れまで連れて行かなくっちゃ!」・・・そう考えなおした若いノコギリダイさんは勇気を振り絞ります。

- 若いノコギリダイさんは恐怖を忘れ自分の背中の光を灯台のように輝かせながらみんなを先導して群れの待つ安全な場所へと泳ぎ出したのです・・・無事に大群へと戻ることができた若いノコギリダイさんも以前のように臆病でもなく群れの中で一番美しく背中を輝かせながら仲間を守る誇り高き一匹へと成長を遂げたのです・・・そして「僕たちはただの群れの一部じゃないんだ!一人ひとりが輝く存在なんだ!」と若いノコギリダイさんは感じ周囲を警戒しているのでした・・・太陽が傾き海が夕闇に包まれる頃になると夜の食事の時間に向けてそれぞれの静かに散らばり始めます・・・夜の暗闇の中をたくましく生き抜きそして翌朝太陽の光が差し込むと彼らはまたあの約束のサンゴ礁へと集まり美しい大群を形作るのでした。



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