グルクマさんの群れが大きな口を開けて食事中! セブ
- この写真の群れはおそらくスズキ目サバ科グルクマ属のグルクマさんだと思うのですが大きな群れで何か捕食中です・・・グルクマさんは動物プランクトンや小魚さんなどを食べますがプランクトンを濾過摂食するために鰓耙がよく発達しているそうです・・・近くで見るとグルクマさん達の「俺のごちそうだ!腹いっぱい食ってやる!」と言うような必死な表情が面白いですね・・・少しでもたくさん食べて生き抜くんだ!という強い意志が感じられますがそんなに大きく口を開いて顎がはずれないのでしょうか?・・・ちょっと心配になりますがグルクマさんにとっては普通のことなのでしょう!・・・グルクマさんの成魚は全長40cmほどでマサバさんやゴマサバさんに比べると小型ですが体高が高く太短くスマートな身体とは言えないお魚さんで背中側には黄緑色の地に黒い斑点列が縦方向に並んでいます。

- ちなみにマサバさんは全長50cmほどとグルクマさんより大きく身体は前後に細長い紡錘形で短い吻が前方に尖っていて横断面は楕円形でグルクマさんに比べるとかなりスマートな体形です・・・確かに写真のグルクマさんはちょっとズングリムックリでマサバさんの様にスマートとは言えない体形ではあります・・・マサバさんの背面は青緑色の地にサバ類独特の黒い曲線模様が多数走り側線より下の腹面は無地の銀白色をしていてよく似たゴマサバさんは腹面に小黒点が散在することと体の断面が円形に近いことで区別できます・・・この時のグルクマさんは動物プランクトンを食べていたようですが光の加減なのかお腹を一杯にしようと必死で開けた大きな口と顔だけが妙に光り輝いていましたがなかなかいい表情だと思いませんか?

- ちなみにグルクマさんはサバ科ということもあってその日のうちで食べるのなら刺身がとても美味しく夏前や冬のグルクマさんは特に脂が乗っていて抜群だそうです・・・でもグルクマさんは鮮度が落ちやすく直ぐに傷んでしまいますので釣って1日以上経過したグルクマさんを生で食べてしまうと食中毒になってしまう可能性があります・・・ですからグルクマさんを刺身で食べる場合はその日の内にまた焼いて食べる場合もできれば2日以内には食べ切るようにした方が良いそうです・・・またグルクマさんにはアニサキスが寄生している可能性がありますので目視で確認して取り除くか完全に火を通して食べるかした方が良いようです・・・間違ってアニサキスを食べてしまうと腹痛や嘔吐などの症状が凄いらしく私はまだ経験が無いのですがこれからもそんな経験はしたくないですね。
クレナイニセスズメさんが言いたい独白は? パラオ
- スズキ目メギス科クレナイニセスズメ属のクレナイニセスズメさんの体は全身が綺麗な紫色で鰭は透明になっていて個体によっては色が抜けて薄紫色になっているクレナイニセスズメさんもいます・・・この写真のクレナイニセスズメさんの様に全身パープルピンクでなかなかド派手なお魚さんなのです・・・クレナイニセスズメさんがこちらを睨んで「どうだ!俺たちの身体はド派手でカッコいいだろ」って言っているようです・・・でも海の中では岩陰に隠れていることが多く水中では最初に赤系の色が吸収されるのでクレナイニセスズメさんを見つけてもこの写真と同じようにド派手な色をしているわけではありません・・・海の中でこのクレナイニセスズメさんを観るとお魚さん同士ではどのように見えるのか想像が付きませんが意外や意外なかなかシックな濃い紫色に見えます・・・「あれ!この方はクレナイニセスズメさん?違うお魚さんではないですか?本当にクレナイニセスズメさんですか?」とびっくりしてしまいますよ~。

- クレナイニセスズメさんは成魚でも全長6センチメートルくらいしかなく暗がりが好きみたいで潮通しのよいサンゴ礁の縁などオーバーハングの陰などをよく見るとチョロチョロチョロチョロしている小さな姿を見かけます・・・光を当てないと地味な感じのクレナイニセスズメさんなので「あ!クレナイニセスズメさんがいた!」って気づきにくいですが水中ライトを当てるとガラリとイメージが変わります・・・本当にあれ!と思うぐらいの豹変ぶりで美しい青紫色の身体であることからパープル・リップスティックとも呼ばれているそうです・・・パープル・リップスティックなんてとてもお洒落な名前ですがクレナイニセスズメさんも気に入っていますかね。

- クレナイニセスズメさんはとても臆病で警戒心が強いため危険を感じるとすぐに岩穴に隠れてしまいます・・・上の写真のクレナイニセスズメさんはビビりながらもこちらを向いて歯を食いしばっているようです・・・「なんだよ!俺をニセと呼ぶのはお前か?俺は偽物じゃないぞ!!お前たちが勝手に名前を付けただけじゃないか!」って文句を言っているようです・・・でも文句をつけるのも一瞬でカメラを向けるとあっと言う間に逃げてしまいます・・・下の写真のクレナイニセスズメさんはピンボケになってしまいましたがちょっと仏頂面をしている様です・・・このクレナイニセスズメさんも文句を言いたげな表情ですがその仏頂面も何故かかわいいクレナイニセスズメさんです。

クロオビマツカサさんのへの字眉毛って愛嬌を感じます! 小笠原
- 大きな目に鰓蓋膜と主鰓蓋骨に暗色域が帯のようにつながっていてまるで垂れた眉毛のように見えるのはキンメダイ目イットウダイ科のクロオビマツカサさんですね・・・体長は15cm程度で体は側扁していて下顎の先は上顎よりも突き出ていて他の同属のものに比べると鱗は小さくなっています・・・クロオビマツカサさんの体の色は薄い赤色で一見してアカマツカサさんとよく似ていますがアカマツカサさんは黒色帯が繋がっていないことや体の色も鮮やかな赤色であるなどの違いがあります・・・またクロオビマツカサさんはウロコマツカサさんやナミマツカサさんなどにもよく似ていますがウロコマツカサさんの尾鰭上下両葉の端や背鰭や尻鰭の端は黒っぽくなっていて体の色は薄い赤色をしていますが白っぽく見えることもあります。

- ナミマツカサさんは胸鰭腋部には小さな鱗があり鱗の大きさなどで見分けることができるとされていますが個体差などもあり外見だけで判別するのは難しいようです・・・それにしてもクロオビマツカサさんのへの字眉毛の模様は愛嬌があって可愛いですよね・・・ところでクロオビマツカサさんが属するイットウダイ科は8属からなりアカマツカサ亜科とイットウダイ亜科の2亜科に分けることができます・・・アカマツカサ亜科の魚種は前鰓蓋に長大な棘がないことなどが特徴でイットウダイ亜科の魚種は前鰓蓋骨の隅角部に長大な棘があることが特徴になっています・・・世界で8属約80種が知られ日本には6属40種が暮らしていて多くの種類が浅海の岩礁域やサンゴ礁にすみ特に夜活発に活動するものが多いようです。
友達が欲しいの?クロガシラウミヘビさん咬まないでね! ケラマ
- ウミヘビさんって泳いでいるとよくウミヘビさんの方からくねくねくねと近づいてくるんですよね・・・ウミヘビさんにしてみればあの変な動きをする生き物は何だろうって好奇心旺盛にダイバーの方に興味を示しているだけなのでしょうが・・・ウミヘビさんが別に襲ってきているわけではないのですがやっぱり怖いですね・・・歯は短くウエットスーツを貫通することはないとは聞きますがどうしても毒蛇さんのイメージがあるので怖いですね・・・このウミヘビさんは有隣目コブラ科ウミヘビ属のクロガシラウミヘビさんですが非常に強い筋肉毒・神経毒を持ち噛みつくこともあるので注意しましょう・・・クロガシラウミヘビさんがこちらを睨んでいるように見えますが沿岸部の浅い砂泥底やサンゴ礁周辺で見られ背面は黄色がかった灰色で腹面はクリーム色をしており全身に渡って40~50本の黒い帯が並んでいます・・・胴体に対し頭と首がとても細くアナゴ型の細長い魚類を主食とし小さな頭は砂に頭を突っ込んでこれらの魚を獲るのに適しています・・・クロガシラウミヘビさんは胎生で夏から秋にかけて1〜8匹の仔ヘビを海中で産みます。

- ウミヘビさんに共通ですが尾はへら状に側扁し水中で推進力を得やすい形になっていて泳ぐ際は体を横にくねらせて泳ぎますが横縞を持つ種類が多いようです・・・またこれもウミヘビさんに共通ですが鼻孔は頭部の上にあり水面での呼吸がしやすくなっておりまた鼻孔には閉じる弁が付いていて水中で閉じることができます・・・鼻の穴の中に海水が入ったら嫌ですもんね・・・クロガシラウミヘビさんは最大全長は雌で130 cm雄で110 cmほどで尾は全長の10%程度を占めています・・・先ほども申し上げましたがウミヘビさんは好奇心旺盛でくねくねと近付いてくることはよくありますが性質はおとなしい種類が多いです・・・でも手で持つなどすると当然咬まれることがありますのでそのような行為は絶対にやめましょう・・・ウミヘビさんの毒は神経毒で咬まれると麻痺やしびれから呼吸や心停止になることもあります・・・ウミヘビさんにもし咬まれたら速やかに陸もしくは船上に上がり対処しましょう・・・ 応急処置として傷口よりも心臓に近い部分をタオルなどで縛り傷口を洗い流しながら毒を絞り出しましょう。
シマシマ軍団のクロヒラアジさんが勇敢に出動! パラオ
- スズキ目アジ科ナンヨウカイワリ属のクロヒラアジさんは珊瑚礁周辺で群れをなすことが多いお魚さんで体の側面に7本程度の帯があり中央のものは「く」の字型に折れ曲がっているので比較的わかりやすいお魚さんかもしれません・・・クロヒラアジさんは比較的大型の種で40cmほどの大きさですが最大で全長70cmにもなります・・・クロヒラアジさんは側偏した楕円形で背側が腹側よりもふくらんだ体型をしていて体の色は背なかは青緑色から黄緑色でお腹にかけては銀色になっています・・・また背鰭と臀鰭は白味を帯びた黄緑色で腹鰭は透明か少し白味がかって尾鰭は黄緑色で後端と頂端は暗い色になっています・・・下の写真では青がかってしまっているのでちょっと色がわかりずらいですね・・・すみません。

- クロヒラアジさんの頭部は丸みを帯びており成魚の唇はかなり厚くなっていて両顎は前方にビヨーンと突き出すことができます・・・またクロヒラアジさんには多数の目立たない金色の斑点が胸鰭より上部側面にありますがこの写真ではわからないですね・・・クロヒラアジさんは外洋性のお魚さんで生息域は広く遊泳力が高いので小さな群れを作って様々な種類の小魚さんやエビさんカニさんそれから軟体動物などをガバっと捕食します・・・下の写真の様にシマシマ模様の大型魚が軍団で来ると迫力がありますが食べられる方にしてみればたまったものでは無いですね・・・それからクロヒラアジさんの産卵時期は7月から11月までの間に始まると推定されていて幼魚は時として大型の浮遊性クラゲさんの触手を隠れ家とすることが知られています。

クロホシイシモチさんとネンブツダイさんの違いは? 柏島
- スズキ目テンジクダイ科テンジクダイ属のクロホシイシモチさんは藻場など海藻が多く生えているところやサンゴ礁の影や間や岩場などに住んでいて繁殖期は隠れるところや縄張りを作りやすい障害物の周りに集まる傾向があります・・・クロホシイシモチさんの大きさは全長8cm程度で夜行性であり雄は口内保育するマウスブルーダーです・・・クロホシイシモチさんの卵は孵化まで1週間ほど掛かりその間雄は何も口にしないそうです・・・雄と雌の見分け方ですが繁殖期の雌は腹に卵があると丸い体形をしていてすぐにわかりますが雄は下あごの先が長く突き出ているので雌雄の区別ができます・・・下の写真のクロホシイシモチさんは雌ですかね?・・・クロホシイシモチさんはスズキ目テンジクダイ科スジイシモチ属のネンブツダイさんに本当によく似ていますがネンブツダイさんは背中部分にも黒いラインがありますがクロホシイシモチさんは背前部に暗色縦帯がありません・・・またクロホシイシモチさんの眼の上後方に黒点が一つあることで見分けられます・・・クロホシイシモチさんは赤みがかった体色で吻から目の後ろまで縦線が入っており尾柄部や目の上部やや後方に黒点があり第一背鰭の先端部や第二背鰭は根本が黒くなっています。

- ネンブツダイさんの体色は赤みを帯び腹部は黄色っぽく頭部と体側上方に黒色の細縦帯があり一本は眼を通り鰓蓋後縁に達しています・・・ネンブツダイさんはクロホシイシモチさんによく似ていますがクロホシイシモチさんは体側上方の黒色の細縦帯を欠き黒色円斑があることにより区別できます・・・ムナホシイシモチさんやフタスジイシモチさんやニセフタスジイシモチさんにも似ていますがこれらの種は眼を通る黒色縦帯が体側後方にまで達することで区別できます・・・ネンブツダイさんの第1背鰭の先端は黒く尾柄部に黒色斑がありますが尾柄部の黒色斑が横方向に伸びる傾向のクロホシイシモチさんとは逆に縦方向に伸びる傾向があります・・・でもこの黒色斑の形状で区別するのは難しいですよね・・・ネンブツダイさんの体長は10cm近くになるのですがネンブツダイさんもマウスブルーディングを行うお魚さんでクロホシイシモチさんと同じく孵化までの期間は一切の食事を行うことがなく献身的に子育てを行うネンブツダイさんです。
クロユリハゼさんはもしかして華麗な一族の出身? パラオ
- スズキ目クロユリハゼ科クロユリハゼ属のクロユリハゼさんは体長10cmくらいのハゼさんで体は前半分が青みを帯び後ろ半分が暗色になっていて綺麗にツートンカラーに分かれた姿は名前のごとく正にクロユリの様です・・・またクロユリハゼさんは尾鰭がやや深く湾入しており上下の端に黒色線があって燕尾服と言うか黒いスカートと言うかまるで貴族を思わせるような艶やかな姿をした可憐な印象のハゼさんです・・・写真の様にクロユリハゼさんは発達した第二背鰭と尻鰭が綺麗に相対しているのが最大の特徴で「この黒いドレススカートってどうですか?なかなかお洒落だと思いませんか?じっくりと見て!見て!」と仲良く優雅に泳ぎながらクロユリハゼさんが言っているようですがどちらがオスでどちらがメスなのでしょうか?

- クロユリハゼさんは水深2~15mのサンゴ礁や岩礁の辺りの砂地になった場所を好むハゼさんです・・・ハゼ類の多くが底生魚で底の方で暮らしているのですがこのクロユリハゼさんは中層付近をゆらゆらと泳いでいて海中に漂う動物プランクトンを食べながら暮らしています・・・そのためクロユリハゼさんは潮通しの良い場所を好む性質がありそんな潮通しの良い場所でよく写真の様にペアで仲良く泳いでいます・・・でもクロユリハゼさんは動きが早い上にとっても臆病なので「あれ?今そこで仲良く泳いでいたのに?いつの間にか消えちゃった!」と思うくらいにあっと言う間に巣穴に隠れてしまいます・・・本当に見事なくらいに見えなくなりますので撮影する時は驚かさない様にそっと近づきましょう・・・それからクロユリハゼさんは幼魚の頃は全身が半透明で尾柄部に黒色と黄色斑を持つそうなのですがイメージするとかなり可愛いお子ちゃまに思えるので一度お目にかかりたいものです。
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