サンゴ礁のストライプ 〜青い覚醒〜ヒレナガヤッコさん! 小笠原

- 透き通るような紺碧のボニンブルーの世界で太陽の光がカーテンのように揺らめき見渡す限りのサンゴ礁が広がっているその穏やかな海底の一角に淡い青の体に鮮やかな黒のストライプをまとったスズキ目キンチャクダイ科タテジマヤッコ属のヒレナガヤッコさんのオスが暮らしていました・・・日本では八丈島・小笠原諸島・琉球列島などで見られますが海外では台湾からニューカレドニア・ミクロネシアなど西部太平洋に広く分布しています・・・このヒレナガヤッコさんのオスはここのサンゴの庭を美しく保ち仲間のメスたちを守る一族のリーダーで尾鰭を優雅にたなびかせながら四方に目を配り海底の平穏を維持していたのです・・・そんなヒレナガヤッコさんの日常が続くある日彼の視界の隅に音もなく動く黒い影が映り込みました。

- それは岩の隙間から様子をうかがうように現れた全く見慣れない真っ黒なお魚さんのようでした・・・「お前はどこから来た?そこで何をしている?俺たちの縄張りを荒らしに来たのか?」・・・ヒレナガヤッコさんのオスが静かに問いかけますが黒い影は何も答えずただじっとこちらを見つめています・・・不穏な空気が流れ縄張りの危機を察知したヒレナガヤッコさんのオスは胸鰭を広げて威嚇し侵略者を迎え撃とうとしますが相手は想像以上に手強くオスは次第に岩陰へと追い詰められていきました・・・それでもヒレナガヤッコさんのオスも負けてはいません・・・長く伸びた優美な尾鰭を翻し鋭いダッシュで淡い青のストライプが激しく水中を泳ぎ回っています・・・しかし次第に強靭な泳ぎにヒレナガヤッコさんのオスは徐々に体力を削られ窮地に陥りそうになりました。

- その時オスへの覚醒を始めた若いメスのヒレナガヤッコさんがオスの後ろから身を挺して前に立ちはだかりました・・・まだかすかにストライプが浮かび始めたばかりの未完成な体でしたが彼女の放つ強い意志の光にさすがの黒い影も一瞬ひるんでしまいました・・・彼女の目には怯えの色はなくリーダーの危機を前にした瞬間に彼女の体の中で「群れを守らなければならない」という強い本能が目覚めたのです・・・彼女は今オスへと生まれ変わる「性転換」の第一歩を踏み出したのでした・・・ヒレナガヤッコさんは1匹の強いオスが数匹のメスを従えてハーレムを作って生活しています・・・生まれたときはすべてメスですが群れのリーダーであるオスが死んでしまったりいなくなったりすると群れの中で最も大きくて強いメスがオスへと性転換を始めます・・・性転換が始まるとメスの特徴だった頭の黒い模様が消え体側にオスの証である黒いストライプが少しずつ浮かび上がってきます。

- 新たに覚醒し始めた彼女の気迫とリーダーであるオスの威厳に圧倒されたのか激しい縄張り争いを仕掛けてきた侵略者はやがて諦めたようで深い海の彼方へと去っていきました・・・静けさを取り戻したサンゴ礁の岩陰にいたあの無口な黒い影もまるで二人の絆を認めたかのように静かに一礼して海の闇へと消えていったのです・・・新しくオスへの変化を始めた元メスはリーダーであるオスを支える頼もしい相棒へと成長していきました・・・そしてあの黒い影は実はこのサンゴ礁の古代の記憶を持つ守護であり二匹の覚悟を見届けるために姿を現した存在だったのです・・・体を並べ再び青い海を泳ぎ出す二匹のヒレナガヤッコさんの姿はこの美しい海底の未来を共に守り続ける新たな「二人の守護者」の誕生を告げているようでした。

華麗なるオス化スイッチを押すヒレナガヤッコさんのメス! 小笠原

- サンゴの上空を気持ちよさそうに目立った模様で泳いでいるのはキンチャクダイ科タテジマヤッコ属のヒレナガヤッコさんではないでしょうか?・・・シャープで綺麗な縦縞が目立つヒレナガヤッコさんですが実は性転換をするお魚さんで生まれた時は全員メスなのです・・・なぜヒレナガヤッコさんは生まれた時みんなメスなのかはよくわかりませんが何かの理由で群れの中にオスがいなくなると一番大きなメスがオスに性転換するのです・・・そしてその性転換した1匹のオスが複数のメスを率いてハレムを作って暮らしていくのです・・・今までメスだったヒレナガヤッコさんはオスに性転換してどういう気持ちなのでしょうか?・・・急に自分が群れを率いることになって肩に責任が重くのしかかってしまいますね。


- ちなみにヒレナガヤッコさんの性転換にかかる時間軸ですがオスがいなくなったことを察知すると群れで一番大きなメスはわずか数時間〜1日以内にオスとしての威嚇行動や求愛行動を取り始めます・・・自分が思っていたより結構早いですね・・・こんなに早くリスクに対して対応しないとヒレナガヤッコさん達は生き抜いていけないということなんでしょうねえ?・・・それから行動だけでなく見た目の変化ですが早いヒレナガヤッコさんでは約2週間でメスの特徴である頭部の黒い帯が薄くなり腹部にオス特有の黒い縦縞模様が浮き出てきます・・・ここまでくるとオスに性転換したように見えますが生殖機能の完成はここからです・・・メスだったヒレナガヤッコさんの体内では卵巣が縮小し新しく精巣が発達します・・・この変化はおよそ2週間〜20日前後かかり実際に精子を作ってやっと繁殖ができる完全なオスへと生まれ変わるのです。

- このようにヒレナガヤッコさんは性転換をするのですが性別でまったく違う見た目をしております・・・オスのヒレナガヤッコさんは体側に鮮やかな黒と白の美しい縦縞模様が入っています・・・それに対しヒレナガヤッコさんのメスには縞模様はなく淡い青みを帯びた上品な体色で頭部に黒い帯があるだけなのです・・・ということで上記の写真はオスで下記の写真がメスのヒレナガヤッコさんということになります・・・主に八丈島や小笠原諸島・琉球列島などの少し深い岩礁域に生息していて一般的なヤッコさんの仲間は岩の藻類を食べますがヒレナガヤッコさんはプランクトン食性で潮通しの良い場所で流れてくるプランクトンを食べて暮らしています・・・そのため潮通しの良い崖沿いにプレンクトンが湧き上がりやすいためヒレナガヤッコさんはちょっと水深の深いドロップオフを好むのです・・・また浅い水深には気の強い他のタテジマヤッコ属などが多くそれらの競合を避けて深場へ適応したとも言われています。

ヒレナガヤッコさんのお嬢さんとキイロハギさんが井戸端会議!
- よく見るとチャイロヤッコさんの様な黒っぽい方もいらっしゃいますが目立っているのは黄色いスズキ目ニザダイ科ヒレナガハギ属のキイロハギさんと青いスズキ目キンチャクダイ科タテジマヤッコ属のヒレナガヤッコさんです・・・彼女たちは井戸端会議でもしているように見えますが・・・何の話題でしゃべっているのでしょうか?・・・旦那の悪口でしょうか?・・・ヒレナガヤッコさんは岩礁やサンゴ礁外縁の斜面の中層で見られ潮通しの良い場所を好むお魚さんなのですが生息水深は25m以深ということでやや深い所で暮らしています・・・でも小笠原ではそこまで深くなくても見れたような気がします・・・ヒレナガヤッコさんの体は楕円形で側扁していて頭部前縁は丸く口は小さくてやや上向きに開いていますがヒレナガヤッコさんのオスは身体の色は淡い青灰色で腹側は水色の地に黒色の縦帯が多数入っていて背側と腹側の境界後方には1本の黄色い縦帯があります・・・またヒレナガヤッコさんのオスの尾鰭の上・下葉はよく伸びていますがメスの様に尾鰭両葉は黒色になってなく腹鰭は白色になっています。

- ヒレナガヤッコさんのメスの体側は写真の様に淡い青灰色一色で左右の眼にかけての頭頂部に黒色の斑が複数あり尾鰭両葉は黒色になっています・・・ヒレナガヤッコさんのメスも綺麗なブルーなのですがオスほど派手ではなくヒレナガヤッコさんのおちびさんもメスとほぼ同じ色彩で頭頂部の黒色斑がまだシンプルなのです・・・ヒレナガヤッコさんは動物プランクトンなどを食べ数匹程度のハレムをつくって生活していますが雌性先熟の性転換を行います・・・これはタテジマヤッコ属のお魚さんの特徴の一つで群れの中のオスがいなくなったりすると体の大きいメスがオスへと性転換するのです・・・このような性転換をする群れの暮らしはハナダイさんの仲間やベラさんの仲間など他の魚でも見られます・・・先ほどヒレナガヤッコさん達が井戸端会議をしているのではと申し上げましたがもしかしたら次のオスを誰にするか会議をしていたのかもしれません・・・よく見たら確かに真剣な眼をしていますからね。

- 上の写真はキイロハギのおちびさんと仲良く同時にこちらの様子を伺っているのはヒレナガヤッコさんのオスです・・・ヒレナガヤッコさんは全長が15cm程度でオスは体色が鮮やかなブルーで腹部に数本の淡色と黒色の縦帯があり遠くから見ていてもよく目立つゼブラ柄ですがキイロハギのおちびさんと違って心配そうな表情をしています・・・もしかして先ほどのヒレナガヤッコさんのメスたちの井戸端会議を聞いてしまったのでしょうか?・・・「まだ僕元気だよ!次のオスの話はまだ早いんじゃないかな?」なんて心配しているのでしょうか?・・・それからヒレナガヤッコさんのオスは体側後方の淡色部と青色部の境界付近に一本の黄色縦帯がありますが不明瞭なことも多く下の写真でもわずかにわかりますかね?・・・それからヒレナガヤッコさんの尾鰭の上下葉はビヨーンと良く伸びていてこれが名前の由来なのでしょうが下の写真の左上に居るのがオスで右下のちょっとぼけて写っているのがメスです・・・ヒレナガヤッコさん達は動きが素早くなかなかじっとしてくれないのでピントを合わせるのが難しかったです・・・ヒレナガヤッコさんのオスはゼブラ柄でよく目立ちますがメスは控え目な模様でついつい見過ごしてしまいますがもう少しメスもお洒落に着飾ったらいいのにと思ってしまうのは私だけでしょうか?
ヒレフリサンカクハゼさんは海賊?(改)セブ
- ヒレフリサンカクハゼさんは背ビレの上部が褐色なのが特徴なのですがよく見てください!・・・海賊のドクロの旗のようだと思いませんか?・・・まさにドクロですよね!・・・ヒレフリサンカクハゼさんはドクロの旗を掲げて海賊王を目指しているのでしょうか?・・・なんか凛々しいですよね・・・ヒレフリサンカクハゼさんはツマグロサンカクハゼさんと似ていますがヒレフリサンカクハゼさんは目に模様がなくツマグロサンカクハゼさんには目に模様があるところで区別できます・・・ヒレフリサンカクハゼさんは下アゴが上アゴよりも出ていて受け口になっていますがツマグロサンカクハゼさんは上アゴの方がでているところからも区別できるようです。

- ヒレフリサンカクハゼさんはちょこちょこ移動するのですが移動した後に背びれをピコピコと動かすしぐさが何とも言えずかかわいいハゼさんなのです・・・俺はここに居るよと言わんばかりにピコ!ピコ!ピコ!っと海賊旗をはためかせたかと思うとまたちょこ!ちょこ!ちょこ!っと動いて、またピコ!ピコ!ピコ!・・・背びれの黒いところと茶色いところを合わせるとどう見てもドクロだし海賊旗で間違いないですよね!!・・・海賊王を目指すかわいい海賊さんだあ!!

- ツマグロサンカクハゼ:ヒレフリサンカクハゼさんは第一背びれが三角形で上半部が赤色であることに対してツマグロサンカクハゼさんは烏帽子型で端っこが黒くなっています・・・ ツマグロサンカクハゼさんは目に模様があり上アゴが出ていますが背びれをピコピコと動かすしぐさは同じようにかわいいハゼさんです。


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