2本の剣の決闘!運命が交錯?ヨイヤミミノヒラムシさん! 小笠原

- 青い青いボニンブルーの海の中を何かが漂っています・・・よくよく見るとそれは背中には無数の黄色い宝石のような突起が輝き体のフチは純白のレースのように美しく縁取られている生き物でした・・・その生き物が岩陰から静かに這い出してきて体のフチをひらひらと波打たせるように動かしふわりと宙に浮いて泳ぎだしたのです・・・ドレスの裾を翻すように青い海を優雅に舞い踊る姿はまるで海の妖精そのもの!・・・「今夜は絶好の泳ぎ日和ね」と優雅に泳いでいるこの生き物はニセツノヒラムシ科ミノヒラムシ属のヨイミヤミノヒラムシさんではないでしょうか?・・・そんなヨイミヤミノヒラムシさんを見ていると遠くからお腹を空かせた肉食魚の影が迫ってきて「美味しそうなものがいるぞ!」と目をギラつかせて近づいてきます・・・しかしヨイミヤミノヒラムシさんのこの派手な姿は猛毒を持つタテヒダイボウミウシさんの擬態だったのです・・・タテヒダイボウミウシさんの体内にはカイメン由来の強い毒を蓄えていて危険を察知すると体表から白く不快な臭いのする粘液を放出しお魚さんなどの捕食者を退けるのです・・・お魚さんはヨイミヤミノヒラムシさんの姿を見るなり「うわっ、あの不味くて毒のあるイボウミウシさんだ!」と勘違いし慌てて回れ右をして逃げていきました・・・ヨイミヤミノヒラムシさんはそんなお魚さんの行動にフフッと笑いながら大好物の群体性のホヤが広がっている近くの岩場に着地しました・・・ヨイミヤミノヒラムシさんは口を大きく広げホヤを丸ごと包み込むようにして夕食を楽しみましたが肛門がないヨイミヤミノヒラムシさんはしばらくすると消化できないホヤの硬い殻を再び口からペッと吐き出します。

- そんなお腹がいっぱいになった至福の時ヨイミヤミノヒラムシさんの前にもう一匹の美しいヨイミヤミノヒラムシさんが現れました・・・二匹は見つめ合っていましたが彼らは雌雄同体でどちらもオスでありメスでもあります・・・しかし次の世代に子孫を残すためにはどちらがオスとして振る舞うかを決めなければならないのです・・・二匹は同時に体に隠し持っていた2本の白い陰茎突起を突き出しましたがそれはまるで熟練の剣士が構えるツイン・ソードのようでした・・・水中でひらひらと激しく舞い踊りながら相手の隙を突いて皮膚に剣を突き刺そうと激しいフェンシングの戦いが始まりました・・・戦いは数分に及び激しく体を波打たせ水中に舞い上がる二匹でしたが一方のヨイミヤミノヒラムシさんが相手の攻撃を紙一重でかわし2本の剣で相手の白いフチをガッチリと挟み込み皮膚へと精子を直接注入しました・・・皮膚受精が終わると二匹の間にあった緊迫感は消え穏やかな空気が流れそして新しい命の準備が始まりました・・・インド太平洋の熱帯・亜熱帯域のサンゴ礁に広く生息しているヨイミヤミノヒラムシさん日本では八丈島や和歌山県・四国・沖縄などで見られます・・・一見するとウミウシさんの仲間にそっくりですがウミウシさんが貝殻を退化させた軟体動物であるのに対しヨイミヤミノヒラムシさんは扁形動物であり全く異なるグループに属しています・・・ヨイミヤミノヒラムシさんの頭部の先端に耳のようなあるいはツノのような一対の突起がありますがこれはウミウシさんの触角とは異なり体のフチが前方にめくれ上がってツノのように見えているものです。

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