見た目はジョーズ中身は天使のシロワニさん! 小笠原

- イクジットしようと上昇しかけた時にどこからともなく出現したのがこのシロワニさんでした・・・撮影の準備もしていなかったのでスイッチを入れたりピントを合わせたりとあたふたして時間がかかってボケてしまいましたがむき出しの鋭い歯と恐ろしい見た目に反して非常に温厚でおとなしい性格をした大型のサメさんです・・・名前にワニさんとついていますがかつて日本の一部地域でサメさんをワニさんと呼んでいた名残から名付けられたそうです・・・シロワニさんは最大3.2mに達する大型種でせり上がった背中と口から常に見えている細く鋭い歯が特徴でかなり厳つい印象があります・・・でもシロワニさんの歯は映画『ジョーズ』のホホジロザメさんのような獲物の肉を切り裂くナイフのような形とは異なり細長く槍のように尖っております・・・またよく見ると中央の大きな歯の左右に小さな突起があって一度捕まえたお魚さんやイカさんを絶対に逃がさないための返しが付いたフォークのような役割を果たしているのです・・・歯はこのように獲物を捕らえるためのもので噛み切る力はないためシロワニさんは丸呑みできるサイズを狙います。

- シロワニさんは世界中の熱帯・温帯の浅い海にいて日本では主に小笠原諸島周辺で見られます・・・シロワニさんの最大の特徴はサメさんの中でも極めて特異な繁殖様式(卵胎生)にあります・・・シロワニさんの母親のお腹の中には2つの子宮がありそれぞれで最初に生まれた胎児が後から孵化した他の受精卵や兄弟の胎児を食べて成長するのです・・・この胎内戦争を勝ち抜いた左右の子宮から1匹ずつ計2匹の強靭な赤ちゃんだけが約1mの大きさで生まれてきます・・・生き残るためとはいえ生まれてすぐに過酷な生存競争なんですね・・・それからサメさんの多くはうきぶくろを持たないため泳ぎ続けないと沈んでしまいますがシロワニさんは海面から空気を吸い込んで胃に溜めるという独特の習性を持っていて胃の中の空気量を調節することで水中をまるで宇宙飛行士のようにピタッと静止できるのです・・・シロワニさんはエネルギーを消費せずに水中で静止できるため夜間に岩陰でじっと獲物を待ち伏せする効率的な狩りを行います。

- 日本では世界自然遺産の小笠原諸島が野生のシロワニさんに高確率で出会える世界的なダイビングスポットとして有名ですが父島周辺の「海底の砂地」や「沈船(延寿丸など)」の周囲・岩礁のアーチ下などでよくホバリングしています・・・シロワニさんは年間を通じて見られますが特に冬から春にかけて繁殖のために浅場に集まる個体が多くなり遭遇率が上がりますが非常に温厚なためこちらから急に触ろうとしたり進路を塞いだりしなければ目の前を優雅に通り過ぎていく姿を観察できます・・・シロワニさんをはじめとする多くのサメさんの歯は獲物を捕らえるための使い捨ての道具ですがシロワニさんの歯の生え変わりの周期は約1週間に1本のペースで古い歯が抜け落ちて新しい歯へと更新されます・・・人間が一生で使う永久歯は親知らずを含めても32本ですがシロワニさんは生涯に約3万本もの歯を使うのだそうです・・・ですから水族館のダイバーや飼育員が水槽の底を掃除するとポロポロと抜け落ちたシロワニさんの歯が頻繁に見つかるのだそうです・・・サメの顎の内側には何列もの予備の歯がまるで出番を待つようにびっしりと並んでいて最前列の歯が欠けたり古くなって抜け落ちたりすると後ろの列にある次の歯がスライドするように前へと押し出されてきます・・・何故そんなに簡単に抜けるのかというと人間の歯は顎の骨に深く埋まり歯根膜という膜でガッチリと固定されているため簡単には抜けませんがサメさんの歯は顎の骨に直接固定されておらず歯茎の皮膚だけに植わっている状態ですので獲物に強く噛みついたときなどに引っ張られると根元からあっさりと抜けるようになっているのです。

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