過酷な海を生き抜き安住の地を見つけたヨスジフエダイさん!小笠原

- ボニンブルーの海深く暗い岩礁を隠すように鮮やかな黄色のカーテンが揺らめいていました・・・彼らの名はヨスジフエダイさん!・・・体に走る4本の青い縞模様はまるで南国の海が描いた美しい五線譜のようです・・・一匹一匹は小さな命にすぎませんが彼らが集まり何十・何百という大きな群れを成したその姿は海中に現れたひとつの巨大な生き物へと姿を変えます・・・潮の流れが速くなるとはぐれないようにヨスジフエダイさんの群れは一斉に同じ方向を向きピタリと動きを合わせます・・・ヨスジフエダイさんの目立つ黄色は外敵に見つかりやすい諸刃の剣なのですが「みんなでひとつの塊になるんだ」とでもいうように広大な青の世界で全員が身を寄せ合ってきらめくことで襲いかかる敵から身を守っているのです・・・サンゴの隙間をすり抜けどこまでも続く青い砂漠を渡っていく黄色の旅人ヨスジフエダイさん!・・・彼らが通り過ぎたあとの海にはきらきらとした光の余韻と生命の力強い息吹だけがいつまでも優しく残っているのでした。


- そのとき岩礁の向こうから現れたのはアオウミガメさんです・・・アオウミガメさんの甲羅には長い旅の証である小さな傷をいくつもつけ潮の流れに乗って優雅に鰭を動かしています・・・ヨスジフエダイさん群れは驚いてしまったのか一瞬だけ波打つように形を崩しましたがそれが危険な敵ではないと分かると今度はウミカメを歓迎するかのようにその大きな体の周りを囲むようにして泳ぎ始めました・・・「どこへ行くの? おじさん!」若いヨスジフエダイさんたちが尋ねるようにウミカメの目の前を横切るとアオウミガメさんは目を細め静かに海の奥深くを指し示しました・・・そこはさらに深くさらに青い彼らがいまだ見たことのない未知の世界でした・・・アオウミガメさんは群れを連れるようにゆっくりと深海へと下降を始めます・・・ヨスジフエダイさんの光の塊もその静かな旅人のあとに続き岩礁の影へと吸い込まれていきました・・・彼らの旅はまだまだ始まったばかりなのです。

- アオウミガメさんに導かれヨスジフエダイさん達がたどり着いたのは色とりどりの巨大なテーブルサンゴがどこまでも広がり見たこともないほど美しいイソギンチャクさんがお花畑のように揺れるまさに海の楽園でした・・「ここが僕たちの新しい家だ」とでも言うようにヨスジフエダイさんたちはアオウミガメさんの周りから離れ一斉にサンゴの森へと舞い降りました・・・彼らは一斉に鰭を動かしサンゴの隙間を舞いながら泳いでいます・・・ここは外敵の影に怯える必要のない穏やかな場所でヨスジフエダイさんたちはようやく張り詰めていた緊張を解くことができたのです・・・アオウミガメさんは新しい故郷を見つけた小さな旅人たちを満足そうに見つめると一度だけ大きく鰭を振りさらに深い海の奥へと静かに去っていきました・・・残されたヨスジフエダイさんの群れは楽園のサンゴ礁を包み込むように大きな黄色の輪を作り新しい命の歴史を紡ぎ始めます・・・差し込む太陽の光と彼らの鮮やかな黄色が溶け合いその美しい場所はいつまでも黄金色の光で満たされているのでした。



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