世界初!ユウゼンさんの産卵行動を観察! 小笠原

- この画像に写っているお魚さんはスズキ目チョウチョウウオ科に分類されるユウゼンさんというお魚さんでチョウチョウウオ科としては非常に珍しい黒を基調としたシックな体色をしています・・・よく見ると鱗の縁が白っぽくなっておりまるで日本の伝統技法である友禅染の美しい網目模様や刺繍のように見えることからユウゼンという名が付けられました・・・また背鰭・臀鰭・尾鰭の後端にある鮮やかな黄色の縁取りが大きな特徴で主に小笠原諸島や伊豆諸島など日本の限られた温暖な岩礁域に生息する日本固有のチョウチョウウオさんとして広く知られています・・・ユウゼンさんは普段は2匹のペアで行動することが多いのですがある時期になると数十匹から時には200匹以上も集まりまるで一つの大きな球体のようになって泳ぐ現象をユウゼン玉と呼ばれています。

- 実はユウゼンさんが大きな群れを作る決定的な理由はまだ完全には解明されておらず海の神秘の一つとされていますが主に以下の2つの強力な説が挙げられています・・・一つ目は繁殖行動(産卵)のため説で群れができる時期のユウゼンさんを調べると生殖器が非常に発達していることから一般的には産卵に向けた集団行動と考えられていますが水中で実際の産卵シーンそのものは未だ確認されていません・・・もう一つは他のお魚さんの卵を襲う(捕食)のため説で岩やサンゴに産み付けられたスズメダイ科の卵を集団で襲って食べるという少し強欲な一面に基づいた説です・・・ユウゼンさんは卵を守る親魚の必死の防衛を100匹以上の集団の力で圧倒し上昇と下降を繰り返しながら順繰りに食い荒らしていくのです・・・他のお魚さんにとっては恐怖の集団ということになります・・・ユウゼン玉が見られる時期は春から初夏(5月〜6月頃)がベストシーズン秋(10月〜11月頃)がセカンドシーズンとなります・・・水温の変化に大きく影響されるためその年によって発生するタイミングが前後しますが小笠原諸島ではサイズにこだわらなければ比較的一年中「小玉」が見られることもあります。

- それからヘラヤガラさんはこのユウゼン玉に紛れ込むことがありその理由はヘラヤガラさんの卓越した狩りのテクニックであるシャドー・ハンティング(隠れみの戦術)を行うためです・・・一見ユウゼンさんの大きな群れに圧倒されてオロオロしているように見えますがユウゼンさんたちを生きた隠れみのとして利用し小魚さんをだまし討ちにするという非常にずる賢い生態を持っています・・ヘラヤガラさんは細長く平べったい独特な体型をしていますが彼らは自分より体高のあるユウゼンさんの体の真後ろや群れのど真ん中にピッタリと寄り添うように泳ぎます・・・小魚さんたちにとって藻類や他のお魚さんの卵を好んで食べるユウゼンさんは無害なお魚さんなのでユウゼン玉が近づいてきても小魚たちは油断して逃げようとしません・・・ヘラヤガラさんはユウゼンさんの影に隠れて小魚さんのすぐ近くまで大接近して間合いに入った瞬間ユウゼンさんの陰からシュッと飛び出し長いストローのような口で周囲の水ごと獲物の小魚さんを一瞬で吸い込んで捕食してしまうのです。

- チョウチョウウオさんの仲間の多くは夕方に集団で一斉に産卵することが知られていますのでユウゼン玉も産卵のための集団だと予想されていましたが実は2019年に研究チームが世界で初めて野生のユウゼンさんの産卵行動を捉えました・・・驚くべきことにユウゼンさんはユウゼン玉のような大群のなかで産卵するのではなく普段から連れ添っている特定の1組のペアが夕方にひっそりと2匹だけで中層へ泳ぎ上がり産卵・放精を行う様子が観察されたのです・・・ということでユウゼン玉は現在では産卵期を控えた個体同士がお見合い(ペアリングの相手探し)をしているのではないか?あるいは集団で効率よく栄養を摂取するための社会的な行動ではないか?といった議論が続いています・・・ユウゼンさんは一度ペアになった2匹は何年経っても浮気をせず常に同じパートナーと行動を共にし水深10m〜15mほどにあるお気に入りの特定の岩を拠点に暮らし続けます・・・何年経ってもその場所から引っ越しをせず毎日同じ場所で一緒に岩の藻類を突き一緒に夜を迎えます。




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