アジアコショウダイさんは大人とおちびさんでこんなに違う!

- 岩礁の間に群れて隠れているのはエビさんやカニさんや小魚さんなどを食べて生活している体長50cm程度のスズキ目イサキ科コショウダイ属に属するアジアコショウダイさん達です・・・食事中では無いようですが変な奴が近づいてきたぞと一斉に警戒しているアジアコショウダイさん達です・・・比較的スマートな体形で体色は茶色がかった明るい灰色をしており唇が分厚く口の周りが赤色で暗色の斑紋が密にあり背鰭に太い棘があります・・・ちなみにアジアコショウダイさんのおちびさんの頃は白色と黒色の帯が見られ成長するに従って黒点へと変化していきます・・・アジアコショウダイさんの密な黒色斑紋が胡椒のように見え鯛のように美味しいということでコショウダイさんと呼ばれるようになりアジアに多く分布していることからアジアコショウダイさんと命名されたそうです・・・わかり易い名前の付け方です。

- アジアコショウダイさんの寿命は15年ほどで比較的暖かい海に分布しており水深10m~40mの海域に生息しています・・・またアジアコショウダイさんの産卵期は春から夏にかけてですからもしかしたらその準備のためにみんなで集まって集団お見合いでもしていたのでしょうか?・・・もしかして下の写真の2匹はお見合い後に仲良くなったペアのアジアコショウダイさんだったりして?・・・それからアジアコショウダイさんの仲間には十数本の暗色帯が斜め上後方へと伸び頬部は暗色点で黄色味が強いアヤコショウダイさんという方や楕円形の体形に淡い灰褐色の体色に暗褐色の斜めの帯が三本見られ背鰭近くに胡椒のような斑点があるコショウダイさん等がいます・・・その他にも体色は淡色で暗色の斑点が各鰭まで全身に広がり腹鰭は長くその先端が肛門を越えることなどが特徴のチョウチョウコショウダイさんや淡色の地色に暗色帯が形成され腹部の暗色帯は2~3本で眼の上の暗色縦帯が前方で連続することなどで区別できるムスジコショウダイさんなどもいます・・・よく似た仲間がたくさんいますね。

- 珊瑚の棚の下を覗いてみると「あれ?ちょっと変わった模様のお魚さんが居る」と思って写真を撮ってみましたがこのお魚さんは成長過程のアジアコショウダイさんのおちびさんではないでしょうか?・・・アジアコショウダイさんの大人は体高は高めで体色は明るい灰色の地肌に暗褐色の斑点が密に分布していますが稚魚期は白色と黒色の帯が見られ成長に従って黒点へと変化していきます・・・ですからこの写真のお魚さんはアジアコショウダイさんのちょうど中学生ぐらいに当たるのでしょうか?・・・それとも高校生ぐらいにはなっているでしょうか?・・・下の写真のアジアコショウダイさんの顔つきからはちょっと太々しさも感じますので高校生ぐらいにはなっているのかもしれません・・・アジアコショウダイさん如何でしょうか?

- アジアコショウダイさんは岩礁やサンゴ礁の間に隠れてエビさんやカニさんそして小魚さんなどを食べて生活していますが幼い頃の白色帯は地色として機能するだけなく白色から青灰色へと変化していきます・・・それからアジアコショウダイさんは浅海の岩礁域やサンゴ礁域で小さな群れを作ることがありますが小笠原では数匹がクリーニングステーションに集まってホンソメワケベラさん等に綺麗にしてもらって気持ちよさそうにしている所をよく見かけます・・・アジアコショウダイさんの頭部の有鱗域は広く眼の下縁は吻端よりもかなり上方に位置していて大きな目がギョロっとしています・・・アジアコショウダイさんの若者がこちらを向いて「まだまだ体も小さいけどいっぱい食べて大きくなるから今度会うときは立派な模様を見てくれよ!」とでも言っている様です・・・また来年小笠原に来るからその時を楽しみにしています。


- 前述しましたが小笠原の海のクリーニングステーションでのんびりホバリングしているのはアジアコショウダイさん達です・・・「早くクリーニングして欲しいんだけどなあ!背中が痒くて仕方ないんだあ!でもホンソメワケベラさんも忙しそうだしなかなか来てくれないなあ?仕方ないから気長に待つかあ?」ってアジアコショウダイさん達が嘆いているとそこへスズキ目イスズミ科イスズミ属のミナミイスズミさんが僕も仲間に入れてよっと割り込んできました・・・横入りはいけませんよお!・・・ミナミイスズミさん!みんな待っているんだからちゃんと順番は守りましょう!・・・と言ってもミナミイスズミさんはずる賢そうな顔をしています・・・この表情から判断するにミナミイスズミさんは順番を守りそうにないですね・・・ミナミイスズミさん!そんなことは無いですか?

- 上の写真の手前のアジアコショウダイさんの背中にちょこんと乗ったホンソメワケベラさんはツンツンツンツン突いていないようですがちょっと疲れたから休憩させてとでも言っている様です・・・確かにこれだけの数のアジアコショウダイさん達をクリーニングしたら疲れますよね・・・心なしかホンソメワケベラさんのお腹が膨れているように見えますがもうお腹いっぱいという感じなのでしょうか?・・・でもアジアコショウダイさん達も辛抱して行儀よく待ってますからホンソメワケベラさんももうひと踏ん張り頑張ってください!・・・ちなみにアジアコショウダイさんの産卵期は春から夏にかけてだそうですが生まれた幼魚は親と違ってパンダの様な独特な模様で身体をくねくねくねくねと動かして落ち着いた風格の親とは違ってせわしない独特な泳ぎ方をします・・・ちなみにアジアコショウダイさんに似ているスズキ目イサキ科コロダイ属のコロダイさんは体高が高く銀色の体色で背面はやや黒く対側面と各鰭には瞳孔より小さなオレンジ色の斑紋がちりばめられ斑紋は腹にかけて細かくなっていきます・・・アジアコショウダイさんとは斑紋の色が違う事と各鰭にも斑紋がある事で区別できます・・・またコロダイさんの稚魚は体型がやや細長くて後頭部が隆起し尾鰭と背鰭始部が伸長しており体色は鮮やかな黄色と幅広い黒色縦帯のコントラストが美しおお魚さんです。



- 下の写真は「身体がなんだかむずむずするんだけど!もしかして何処か寄生虫にやられてしまったのかな?」と不安になりながらサンゴ礁のクリーニングステーションで仲良くクリーニングの順番を待っている3匹のアジアコショウダイさん達です・・・ホンソメワケベラさんが来るのを期待して待っている分厚い唇をしたアジアコショウダイさんの表情が何とも言えなく可愛いですね・・・ホンソメワケベラさんも忙しいでしょうが待ちくたびれているアジアコショウダイさんのために頑張ってツンツンしてあげてください・・・アジアコショウダイさんの名前の由来は黒い斑点が胡椒の実に見えるのことから胡椒鯛という名前が付いたと言われていますが一方で江戸時代のころに主君の後ろに控えていた小姓が着ていた装束模様に似ていることから小姓鯛になったという別説もあります・・・どちらが正しいのかよくわかりませんがアジアコショウダイさんにとっては関係ないことですね。



- アジアコショウダイさんは立派な体形と分厚い唇をしていて貫禄を感じますが幼魚の頃は白黒パンダ模様にオレンジ色の顔そして体の割に大きい団扇のような尾をフリフリクネクネと愛らしい泳ぎをするのです・・・その小さな姿はダイバーの心を魅了してやまないのですがアジアコショウダイさんのおちびさんも成長すると他のお魚さんと同様に全く違う姿に変わってしまいます・・・アジアコショウダイさんが白黒パンダ模様のまま大きくなったらと想像してみると可愛いらしいしもっと人気が出ると思うのですがアジアコショウダイさん駄目でしょうか?・・・アジアコショウダイさんの各鰭は黒く腹部以外の全身に細かい黒色斑があって堂々とした雰囲気のお魚さんですが小笠原諸島では個体数が非常に多く群れでいることもしばしばあり食べるととても美味しいそうです。



- 下の写真のアジアコショウダイさんはのんびりホバリングして瞑想にでも耽っているのようですが待ちに待った甲斐があってホンソメワケベラさんが鼻の辺りや鰓の辺りをツンツンツンとつまみ始めました・・・アジアコショウダイさんは「あ~そこそこそこ!そこが痒いんだよ~!」と恍惚とした顔で満足そうです・・・この場所はホンソメワケベラさんが店を開いているクリーニングステーションでホンソメワケベラさん達が一生懸命アジアコショウダイさんの身体をツンツンツンツンと働いています・・・ホンソメワケベラさんの仲間には日本近海ではホンソメワケベラさん・ソメワケベラさん・スミツキソメワケベラさん・クチベニソメワケベラさんの4種が暮らしています・・・ソメワケベラさんは体長12cm程度で若魚はホンソメワケベラさんに似ていますが成魚は体の前半部が鮮やかな青で後半部が黄色くなっています・・・スミツキソメワケベラさんは体長8cm程度でホンソメワケベラさんに似ていますが和名通り胸びれに大きな黒い斑点があり日本では小笠原や慶良間諸島に分布しています・・・クチベニソメワケベラさんは体長8cm程度で和名通り唇が赤くなっています。

- それからホンソメワケベラさんとは全く違う種類なのですがホンソメワケベラさんに擬態したスズキ目イソギンポ科クロスジギンポ属のニセクロスジギンポさんという方もいます・・・このニセクロスジギンポさんはホンソメワケベラさんとよく似た体色をもち泳ぎ方も似ているので他のお魚さん達はニセクロスジギンポさんをホンソメワケベラさんだと思って安心して近寄ってきます・・・でも身体をツンツンしてもらおうと近寄ってきたお魚さんをこのニセクロスジギンポさんは寄生虫どころか皮膚や鰓を鋭い歯で食いちぎってすばやく逃げてしまうのです・・・ニセクロスジギンポさんはホンソメワケベラさんと似た体色と行動を身につけることで大型のお魚さんから捕食されるのを防ぐだけでなく食料も手に入れることができるようになったのです・・・賢いというか狡いというかニセクロスジギンポさんはかなりの戦略化ですね。

- アジアコショウダイさんは眼の上部は黄色みを帯びていて唇は厚めでムッとしていて何故か頑固おじさんという感じです?・・・眼が黄色いのはお酒の飲み直ぎによる肝臓悪化で黄疸でも出てしまったのでしょうか?・・・おじさん飲み過ぎは良くないですよ!・・・お酒が楽しいのはわかりますが健康には気を付けないと!・・・まあそれは冗談としてアジアコショウダイさんはサンゴ礁や岩礁で写真の様に小さな群れを作ることがありますが定置網などで漁獲されることがあり食用としても利用されています・・・漁獲量はそんなに多くなくコショウダイさんと混同して流通することが多いようですが捕まって食べられるという時に間違えて流通されるなんてアジアコショウダイさんにとってはちょっと不本意ですよね!・・・アジアコショウダイさんは食べるとコリコリとした食感で脂がしっかりとのっていて甘味がありイサキさんや鯛さんに似た食味で美味しく食べられます・・・また火を通すと身が硬く締まることもなくふっくらと仕上がる特徴もあります。
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