自分がベニオチョウチョウウオさんだって自覚してる?
- 小笠原の浅いサンゴ礁の周辺で見かけたのは全長は約13cm程度で白地の体側に「く」の字形の黒色帯が並んでいるスズキ目チョウチョウウオ科チョウチョウウオ属のベニオチョウチョウウオさんです・・・ベニオチョウチョウウオさんは体側の後部と尾鰭が青い海に映えた黄色になっていて仲良く2匹で泳いでいる姿が綺麗です・・・チョウチョウウオさん達は大抵ペアで仲良く泳いでいますが同じ方向を向いていることは稀でそれぞれが一生懸命食事をしているので一緒の枠で撮影するタイミングが難しいお魚さんでもあります・・・ベニオチョウチョウウオさんによく似ているアミメチョウチョウウオさんという方がいらっしゃいますがアミメチョウチョウウオさんは体側の模様が「く」の字形の黒色帯ではなく黒い格子状である事と目を通る黒帯の上に黒点がある事でベニオチョウチョウウオさんと区別できます。

- ベニオチョウチョウウオさんはおもに岩礁域やサンゴ礁を好んで暮らしておりそこらへんでツンツンしていますが場所を移動することはあまり好きでは無いようです・・・今回もサンゴのポリプを好んで食べている姿をよく見かけましたがベニオチョウチョウウオさんは警戒心が強いので撮影しようとするとすぐに反転して逃げてしまいます・・・今回は見かけませんでしたがベニオチョウチョウウオさんのおちびさんは体表には黒の「く」の字模様が5本程度ありますが目に白で縁どられた黒色帯があり体色は黄色からオレンジ色になっています・・・世界の暖かい海域でサンゴ礁のある浅瀬で暮らしているチョウチョウウオさん達は約130種以上おり日本近海でも53種が見つかっていますがチョウチョウウオさんの名前の由来は蝶々の羽のように見えることから名付けられましたが別名バタフライフィッシュの名前で親しまれています。

- 派手な種類が多い海水魚の中でも際だって美しい種類が多いチョウチョウウオさん達の体は平べったくサンゴ礁の隙間に体を隠すことも出来ます・・・またチョウチョウウオ科の仔魚はトリクティス幼生と呼ばれ1cm弱程度で光沢のある色彩で模様がほとんどなく頭部の骨が大きく張り出して兜をかぶったような独特の体型をしています・・・大きい頭はこの時期特有のものでなぜこのような大きな頭になるのかはあまり分かっていません・・・また光沢のある色については浮遊生活をするにあたり波や流れ藻に紛れるためという説がありますが真実は不明です・・・トリクティス幼生達はサンゴのポリプの周りをゆっくりしたパターンで移動しながらプランクトンや小さな無脊椎動物を探して食べています・・・トリクティス幼生達は捕食者から身を守るためにサンゴの枝や岩の隙間に身を上手に隠しながら生き延びますが成長するにつれて兜の形状が変化し大きな頭は影も形もなくなり口が尖ったような形態に変化します・・・そして徐々に成熟した鮮やかな色と模様に変態して我々がよく見かけるチョウチョウウオの成魚となっていくのです。

- ベニオチョウチョウウオさんによく似たレッドバックバタフライフィッシュさんとの違いは目を通る模様がベニオチョウチョウウオさんは黒いのに対してオレンジであるという点と体側の後部からが赤色で尾もクリーム色地に赤色の横帯が通るという点です・・・ベニオチョウチョウウオさんは雑食でサンゴさんのポリプや底生小動物や藻類などを食べて生きていますが水深10-120mの岩礁域やサンゴ礁域で単独かペアで行動しています・・・チョウチョウウオさんは浅くて光が燦燦と降り注ぐようなところにだけいるのかと思っていましたが結構深いところまで進出しているんですね・・・ベニオチョウチョウウオさんはインド洋から中部太平洋にかけて広く分布し日本では奄美諸島や小笠原諸島以南で生活しています・・・下の写真のベニオチョウチョウウオさんはまだ子供の様ですがチョウチョウウオさんの仲間達の多くは尖った口を持ち扁平な体つきをしていて鮮やかな黄色など色彩の種類はたいへん豊富です・・・また多く種類の背中には黒い目玉模様(アイスポット)を持ち本当の目は帯状模様に隠されている種類がほとんどでこれは目の位置を錯誤させることで外敵から身を守るためと考えられています。


意外と無精髭が味を出しているヘラヤガラさん! 小笠原
- サンゴ礁の岩陰に派手な色をしたトゲウオ目ヘラヤガラ科ヘラヤガラ属のヘラヤガラさんがヒョコヒョコヒョコと泳いでいました・・・世界中の暖かい海域のサンゴ礁や岩礁域などで暮らしている細長いヘラヤガラさんの全長は約1mほどで顔も細長く下顎部分には髭を蓄えていてこの不思議な形から英名ではトランペットフィッシュと名付けられています・・・海を泳いでいる姿はまさにトランペットの様なヘラヤガラさんですが和名の由来は料理で使われる竹ヘラと矢の棒の部分であるヤガラから名付けられています・・・ヘラヤガラさんは食べられる部分が少なく骨も多いため調理に手間がかかりますがかなり美味しいそうです・・・ヘラヤガラさんは環境に合わせて体色を変えられる特技も持ち合わせていて暗い色が多い海域では暗褐色となり珊瑚礁など色が多い場所では鮮やかな黄色になったりまた不規則な縞模様が現れることもあったりで個体変化が面白いです。

- こんな風にのんびり泳いでいるヘラヤガラさんですが食事をする時は普段の姿からは想像もできないほどのスピードで細長い口をストローのように使い獲物を吸い込んで食べてしまいます・・・弱肉強食の世界ですから普段とは違う姿でも生きていくために欺くことも大切ですよね・・・それから見た目がよく似たお魚さんでヨウジ目ヤガラ科ヤガラ属にアカヤガラさんやアオヤガラさんやマダラヤガラさんなどの4種がいます・・・ヤガラ科の仲間も細長い体型に細長い吻を持ち通常1m未満であることが多いのですがヤガラ類は口髭をもたず肛門の開口部が腹鰭のすぐ後ろに位置するなど差異は比較的大きく尾鰭は二又に分かれ中央の2本の鰭条が著しく伸長しています・・・もしかしてヤガラさんはヘラヤガラさんと違って顎の無精鬚を綺麗に剃って紳士然としているのでしょうか?・・・ちなみにアカヤガラさんは他のヤガラ科のお魚さんよりも魚体が大きく食味が良いと言われていて高級魚とされています。
便利な長い口のヘラヤガラさん!
- いつ見てもトゲウオ目ヘラヤガラ科ヘラヤガラ属のヘラヤガラさんは口を尖らせていますね・・・そこまで口を長く尖らせるなんてよっぽど文句が言いたい事があるんでしょうね?・・・それはさておきヘラヤガラさんは温暖な海のサンゴ礁や岩礁域で小魚や甲殻類を主に食べてのんびりと暮らしています・・・ヘラヤガラさんは他の中~大型魚類に寄り添って泳ぐ習性が知られていますがとてもフレンドリーで人づきあいがいいお魚さんなのかと思っていました・・・ところがヘラヤガラさんがなぜ中~大型魚類に寄り添っているのかというと実は獲物から自分の身を隠して近づき捕食するというずる賢い習性だったのです・・・いやあ意外ですね結構ダイバーにも親近感を持って近づいてくれるのでフレンドリーなお魚さんだと思っていました。

- それからヘラヤガラさんは斜め向きあるいは逆さまといった特異な姿勢のまま漂う姿がしばしば観察されていますがこれも一種の擬態ですし体色も個体差が大きく海藻などに擬態して変化させることもできるそうです・・・ヘラヤガラさんは中~大型魚類に寄り添って隠れたり泳ぎ方を工夫したり身体の色を変化させて擬態したりするなどなかなかの曲者ですね・・・ヘラヤガラさんの仲間は左右に平たく側扁した細長い体型で最大で全長80cmほどに成長します・・・ヘラヤガラさんの吻は筒状に伸び下顎の先端には肉質のヒゲが存在し肛門は腹鰭よりもかなり後方に位置していてるそうです・・・近縁のトゲウオ目ヤガラ科にはアカヤガラさんやアオヤガラさんやマダラヤガラさんがいますがヤガラ科のお魚さん達もヘラヤガラ科のお魚さんとよく似た細長い身体をしています・・・でもヤガラ科のお魚さん達は口ヒゲおよび背鰭棘条を持たないこと尾鰭が二又に分かれること肛門は腹鰭のすぐ後ろに位置するなどの形態学的差異によって鑑別できます。
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