マルハナシャコさんだと思いますが少し体を見せてください!

- シャコさん達は一見してエビさん達に似ていますのでエビさんの仲間かなと思っていたのですが実はエビ類はカニ類やヤドカリ類などと共に十脚目に属しておりシャコ類との類縁関係はかなり遠いのです・・・ところで軟甲類のアナジャコさんやエビジャコさんなどは名にジャコと付けられていますがアナジャコさんやエビジャコさんはエビ類であってシャコ類ではなく体の構造の違いで判別できるのです・・・エビ類とシャコ類の比較的明瞭な相違点は第1触角鞭状部がシャコさんは3本でエビさんは2本になっている点や背甲と額角に関節があり上下に可動なシャコさんと額角が背甲と一体化して不動になっているなどがあります・・・3本の鞭をもつ触角と逆さまの鎌に似た補脚を特徴としているシャコさん達はおよそ500種が知られています・・・そしてその祖先は約4億年前から生き続けているそうです・・・500種って凄い数ですよね流石に長い歴史があるシャコさん達です。

- そんなシャコさんの中にあってシャコ目ハナシャコ科のマルハナシャコさんは昼行性で浅い海でサンゴ礁の破片などに覆われた柔らかい堆積物に巣穴を掘り細かい破片で坑道の内壁を補強しながら暮らしています・・・マルハナシャコさんは大きな身体をしているのですが意外と几帳面なのです・・・また巣穴は単調なU字状坑道になっているそうで巣穴の入り口あるいは出口に当たるところが2か所あるそうです・・・と言うことは写真に写っているこのマルハナシャコさんの巣穴の近くにもう一つ穴があるということですかね・・・気が付きませんでした・・・マルハナシャコさんは巣穴から顔しか見えないことがほとんどですがよく目立つ頭部先端に突き出た眼があり頭だけというよりは眼だけ巣穴から出して辺りの様子を伺っています・・・この眼は複眼となっていてクルクルと回転することができしかも10万もの色の識別が出来るのだそうです・・・10万色となると本当に細かい色の差も見分けることができるということですよね・・・違う色の色鉛筆が10万本あるということですからちょっとスケールが凄すぎますね・・・生きるためにそこまでの能力が本当に必要なのでしょうか?

- 一般的にシャコさん達は内湾や内海の泥底や砂泥底に巣穴を掘って生活していますが他の水生動物を強大な捕脚を用いて捕食します・・・シャコさん達の捕食方法は原則として二つのグループに分かれていて一つは捕脚内側の棘で柔らかい魚やゴカイなどを捕獲する刺撃型のシャコさんです・・・それともう一つは捕脚外側の縁で硬い殻に包まれた甲殻類や貝などの殻を叩き割る打撃型です・・・マルハナシャコさんは後者の打撃型ですから下手に指などを出すと大けがをしてしまいます・・・マルハナシャコさんは強化した補脚で高速な打撃を繰り出しその上この高速な打撃による瞬時の圧力差で周りの水を沸騰させるというキャビテーションと呼ばれる現象を起こしてしまうのです・・・マルハナシャコさんはこの2回の衝撃で貝類や甲殻類などの殻を叩き割って食べることができるのです・・・瞬時の圧力差で水を沸騰させるなんてどんだけの速さなんでしょうかねえ・・・マルハナシャコさんの体型は細長い筒状で頭部から胸部はやや小さく腹部の方が大きく発達していて体長は10~15cm前後が多いのですが中には全長20cmに達する方もいるそうです・・・マルハナシャコさんは穴の中にいつも潜んでいますので見たことはありませんが尾扇の部分は派手な色をもつものがいるそうです。

ミカヅキコモンエビさんがウツボさんの顔を柔和にする!

- いきなり大きなウツボさんの顔がでましたが今回はウツボさんの大切な大切なお友達である体長2cm程度のエビ目テナガエビ科ソリハシコモンエビ属のミカヅキコモンエビさんの登場です・・・ミカヅキコモンエビさんが何処に居るかわかりますか?・・・大きなウツボさんの顎の所でこちらを見ているのが小さな小さなミカヅキコモンエビさんです・・・ミカヅキコモンエビさんの身体は透明になっていて濃い紫色と鮮やかな黄色の斑点が散在してる綺麗なエビさんです・・・ミカヅキコモンエビさんは額角や歩脚や腹部の下縁そして尾扇の外縁が鮮やかな黄色の細い線で縁取られています・・・威厳あるウツボさんとは対照的にウツボさんの顎の所で小さなハサミを一生懸命使いながらクリーニングをしている健気なエビさんなのです・・・心なしか痒かった顎の所をミカヅキコモンエビさんにツンツンしてもらってウツボさんの眼力も口元もちょっと緩んで満足顔をしていますね。


- ミカヅキコモンエビさんを横から見ると透明な体に黄色い筋が尾部まで伸びていて三日月のように見えることからこの和名が付いていますがミカヅキコモンエビさんはサンゴ礁や岩礁の岩穴や砂地にある離れ根の穴の奥でよく見られます・・・顎のクリーニングを終えたミカヅキコモンエビさんですが今度はウツボさんの眼の後ろのところを小さなハサミでツンツンツンとクリーニングしています・・・ミカヅキコモンエビさんはお魚さん達をクリーニングするエビさんとして知られていますがソリハシコモンエビさんやベンテンコモンエビさんやクリアクリーナーシュリンプさんなどと同じソリハシコモンエビ属に属しています・・・あれ?このミカヅキコモンエビさんはお腹に一杯卵を抱えているようです!・・・これから生まれてくる子供のために一杯稼がないといけないお母さんミカヅキコモンエビさんだったんですね・・・頑張って働いていますからウツボさんもちょっと多めにクリーニング代を払ってくれるかもです。


- ミカヅキコモンエビさんはフワフワとホバリンングしながら「どうぞどうぞいらっしゃーい」とクリーニングを求めにやって来るお魚さん達を岩穴などのお店で待っています・・・ミカヅキコモンエビさんが長い歩脚をだらりと下げオバケポーズで待っている所はソリハシコモンエビさんとちょっと似ています・・・大型のウツボさんやハタさんなどもやってきますがこれだけ大きなウツボさんだとミカヅキコモンエビさんも働き甲斐があると言うものです・・・ミカヅキコモンエビさんに体を綺麗にしてもらっているウツボさんもリラックスしてなんだか眼がうっとりして眠そうです・・・眼の近くにいるミカヅキコモンエビさんはお魚さんの目ももしかしたらツンツクするのでしょうか?・・・さすがに目にはゴミや寄生虫はいないでしょうし眼をツンツンされると傷つきそうなのでしないですよね?

もしかしてメタボリック?太り気味のムチカラマツエビさん!

- テナガエビ科キサンゴカクレエビ属のムチカラマツエビさんはムチカラマツさんやバネの様にぐるぐると捻じれた形のネジレカラマツさんと一緒に暮らすエビさんです・・・ムチカラマツエビさんの身体はズングリムックリポッチャリしていてエビさんの中ではかなりメタボリックな体形をしていますが健康的には大丈夫なのでしょうか?・・・もしかしてムチカラマツさんから離れる事無くのんびり暮らしているので運動不足になってしまいこの様なメタボリック体形になってしまったのでしょうか?・・・確かに運動不足は良くないことですがムチカラマツエビさんにとっては失礼な話で潮の流れでゆらゆら揺れているムチカラマツさんから飛ばされてしまわないようにがっしりとしがみついているムチカラマツエビさんが運動不足である訳が無いですよね・・・ムチカラマツエビさんは灰色や褐色味を帯びた透明の地色に5本の横帯が走りその色は手足と同じ色になっていてムチカラマツさんをしっかりとホールドしています。

- 私がよく見かけるムチカラマツエビさんは灰色の身体だったのですが上記のムチカラマツエビさんは褐色みを帯びています・・・ムチカラマツエビさんはその名の通りムチカラマツ類の幹にヒシっとしがみつき暮らしていますが体の色は宿主の色に合わせて固体変異をしますのでそれぞれのムチカラマツさんに見事に溶け込んで上手に共生しています・・・ムチカラマツエビさんは他のエビさんと違って突起が一切なく1cmくらいの大きさでよくガラスハゼさんと一緒にいるところを見かけます・・・それからムチカラマツエビさんに酷似したキミシグレカクレエビさんというエビさんもいますがキミシグレカクレエビさんの体色は透明で黄色または白色の斑点からなる横帯が複数ありこれもまた身体の色を宿主に合わせて変異させます・・・キミシグレカクレエビさんは頭胸甲上に板状の突起が2つ大きく突出していることでムチカラマツエビさんと区別できますがキミシグレカクレエビさんはムチカラマツエビさんに比べて個体数が非常に少なくまだ私は拝見したことがございません。

- ムチカラマツエビさんが楽しく暮らしているムチカラマツさんはサンゴ礁のある潮通しの良い岩盤上に生息していてムチカラマツさんの細長い体の表面にはポリプがたくさんあって流れてくるプランクトンを捕食して生きています・・・ムチカラマツさんは径3~4mmで軸の長さは1~2メートルくらいの固い骨格を持たないサンゴの仲間になります・・・そんなムチカラマツさんにムチカラマツエビさんは見事にカモフラージュしていますのでムチカラマツエビさんを見慣れてないと目の前にいるのに「ん!どこだ?何処にいるの?居たと思ったのにまた見えなくなった!」ということがよくあります・・・慣れてくると見えるようになってきますが最初はなかなか見つけることができません・・・さすがムチカラマツエビさんムチカラマツの名前を伊達にもらってはいないですね。

- それとムチカラマツエビさんは他のエビさんの様に高速でシュッと移動することはありませんがかなり臆病な性格なのか写真を撮ろうとするとすぐにムチカラマツさんの反対側に隠れてしまいます・・・それに潮の流れでムチカラマツさん自体もユラユラユラユラと動き続けるので撮影するにはなかなか難儀なエビさんなのです・・・ムチカラマツエビさんはペアでいることも多いので中性浮力を取りながら諦めずじっくり探してみましょう・・・潜っている時いつも思うのですが「人間のように写真を撮る時はポーズを決めてくれると助かるのになあ!」ってすみません!人間のエゴですね反省です・・・でも下の写真のムチカラマツエビさんはちょっと古いですがピースポーズを決めてくれているようです・・・ムチカラマツエビさんお忙しいところありがとうございます。

派手派手なモンハナシャコさんは恐怖のクラッシャー!

- 珊瑚の隙間から誰だよお前という表情で見ているのはシャコ目ハナシャコ科ハナシャコ属のモンハナシャコさんです・・・モンハナシャコさんは体長最大15cm程もありシャコ類の中では最大です・・・モンハナシャコさんの体の色は青緑色から赤茶色でその他様々な色と模様を組み合わせられた鮮やかでカラフルで派手な生き物です・・・この派手さからなのか印象的で水中では実際の大きさより大きく感じます・・・モンハナシャコさんの体には円形のような斑紋が網目状にありこの斑紋がモンハナシャコさんの名前の由来となったようです・・・相変わらず巣穴から大きな目で私をジッと見ているモンハナシャコさんですがこのモンハナシャコさんは「海のボクサー」という異名を持つ打撃型のシャコさんなのです・・・このモンハナシャコさんは驚異のパンチ力であらゆるものを壊す怖いシャコさんなのですがもしかして私を狙っているのでしょうか?・・・ちょっと目つきが怖いです!!

- モンハナシャコさんは他のハナシャコ科のシャコさんと同様に昼行性で浅い海で暮らしていますがサンゴの破片に覆われた柔らかい堆積物に一生懸命巣穴を掘って暮らしています・・・モンハナシャコさんの巣穴は単調なU字状坑道になっていますが細かいサンゴ礁の破片で坑道の内壁を丁寧に補強する様な神経質で働き者のモンハナシャコさんなのです・・・クラッシャーハナさんと言えども天敵に襲われない様に住むところにはやはり気を使っているのです・・・そんなモンハナシャコさんですが複眼はピンク色で先節と眼柄は青色になっており触角柄部と顎脚の前部に白い模様が綺麗に散在しています・・・またモンハナシャコさんの第2触角鱗片は黄色く先端は黒くなっていて縁辺部全体に剛毛が生えていますがその剛毛は赤くなっています。

- ちょっと巣穴から出てきましたがモンハナシャコさんは捕脚肢といわれる前脚をものすごい高速で打ち出して相手を攻撃してきます・・・パンチは時速80kmに達しプロボクサーのパンチの約2倍と言われこれは銃弾の初速並みのスピードなのです・・・その威力はすごく魚や甲殻類や貝類などさまざまなものをたたき割り壊して捕食してしまいますが水中にキャビテーション気泡が生じるほどで一瞬にして周りの水は沸騰状態になるということです・・・そんな強力パンチのモンハナシャコさんですが普段は胸の下に折り畳まれている伝家の宝刀の捕脚肢なのです・・・でもいざという時に伝家の宝刀を勢いよく出し相手を壊して食べるなんて座頭市さんの居合切りみたいなモンハナシャコさんです・・・でもこのパンチは獲物を捕食するだけではなく仲間同士の縄張り争いの際にも使われるそうでその威力はガラス製の水槽が割れたり人間なら簡単に爪を割られたり下手をしたら指を骨折ということもあるそうです・・・たいへん凶暴で危険なモンハナシャコさんなのですが実は臆病でもあり通常はダイバーの姿を見るとさっと巣穴の奥に隠れてしまいます・・・でもこのモンハナシャコさんの目つき何か攻撃を仕掛けてきそうな雰囲気ですね・・・怪我をしないように気をつけましょう!!



コメント