3匹の固い絆!広い世界へ羽ばたくツバメウオさん達! 小笠原

- 遠くからお魚さんの群れが近づいてきました・・・この群れはマンジュウダイ科ツバメウオ属のツバメウオさん達ではないでしょうか?・・・ツバメウオさんは平たくて非常に体高があるユニークな体型をしており海中を優雅に群泳する姿がダイバーの間で高い人気を集めています・・・ツバメウオさんは幼魚や若魚の時期は背鰭と尻鰭が上下に長くそのシルエットがツバメが飛ぶ姿に似ていることから名付けられましたが成長するにつれて丸みを帯びたうちわのような形になり老成魚になるとおでこが前に張り出してきます・・・国内では北海道釧路以南の太平洋岸・琉球列島・小笠原諸島などに分布していて沿岸や沖合の中層で大きな群れを作りますが幼魚は沖合の流れ藻や流木の下に隠れて生活するため野生で見る機会は極めて稀です・・・ツバメウオ属には幼魚が枯れ葉にそっくりな擬態をすることで有名なナンヨウツバメウオさんや幼魚の時期に黒い体に鮮やかなオレンジ色の縁取りがあるアカククリさんやミカヅキツバメウオさんなどがいます。

- そんな群れの中から3匹のツバメウオさんがやってきました・・・左のツバメウオさんの表情から伺うと3匹の中で一番前を泳ぎたがる目立ちたがり屋でとにかくじっとしていられない好奇心旺盛なお調子者のリーダー格でしょうか?・・・真ん中のツバメウオさんはいつも2匹の間に挟まれるように泳いでいて周りの様子をじっと観察している一番落ち着いた性格の慎重派でしょうか?・・・海のルールや危険な生物の知識も豊富で他の2匹の暴走を止める役割のようですがいつも押し切られてしまいます・・・右のツバメウオさんは1匹だけちょっと離れて泳いでおり何か別のことを考えている天然さんなのでしょうか?・・・緊迫した状況でも一人だけ「あの泡、綺麗だなぁ」などと考えていますが強運の持ち主で何故か一番好かれるタイプです。

- そんな性格の3匹のツバメウオさん達は果てしなく続く美しくも厳しいボニンブルーの世界で生き抜いてきたのです・・・3匹がまだ数センチしかない小さな頃海が大荒れになり彼らの家だった流れ藻が激しい波としぶきでバラバラに引き裂かれそうになりました・・・吹き飛ばされそうになり必死に藻を口でくわえて体力を失い暗い激流に飲み込まれそうになりながらも3匹はギュッと身を寄せ合い一晩中荒波に耐え抜いたのです・・・翌朝嵐が去って眩しい太陽の光が差し込んだとき3匹はお互いの顔を見て「生きてる!」と大はしゃぎして命を分かち合った親友となったのです・・・そんな小さいころを一緒に過ごした彼らですが体が大きくなってついに広い大海原へと旅立つ日を迎えたのです・・・意気揚々と泳ぎだした3匹のツバメウオさん達は右へ行くか?左へ行くか?でさっそく意見が分かれました。


- 早速お調子者のツバメウオさんが「こっちだ!こっちだ!」とがむしゃらに突き進むと目の前には大きなサメさんの影が現れて大慌てで引き返してきたのです・・・びっくりした3匹のツバメウオさん達の慎重派が「リスクを回避するためにもう少し潮の流れを読もう!」と提案しますがマイペースな右のツバメウオさんが綺麗なクラゲに見とれてどこかへフラフラと離れていってしまいます・・・なかなかまとまらない個性豊かな3匹のツバメウオさん達ですが迷子になりそうになりながらも体を寄せ合って仲良く青い海を進んでいきます・・・すると遠くから聴き慣れない「ブクブクブク・・・」と不思議な泡の音が響き渡ります・・・恐る恐る近づいてみるとそこには彼らが今まで見たこともない大きな大きな黒い生き物がいました・・・そうですそれはダイバーだったのです。

- お調子者のツバメウオさんはさっそく興味津々で近づこうとしてきますが慎重派のツバメウオさんは「危険だ!まだ何者かがわからない!」と叫んで引き止めます・・・そんななか物怖じしないマイペースのツバメウオさんがダイバーのマスクの前にピトッと寄り添いじっと見つめ合います・・・「君はだあれ?ここで何してるの?」と強運の持ち主でもあるツバメウオさんがダイバーに問いかけます・・・そしてこのダイバーが危険ではないと感じたツバメウオさん達はすっかり人間のことが気に入ったようでその愛らしさを振りまきながらぐるぐるとダイバーの周りを泳ぎ回ります・・・そんな3匹のツバメウオさん達も数年後にはすっかり大きくなりおでこが少し張り出した立派な大人になっていることでしょう・・・今日も彼らは青い海の中で息を合わせて会いに来てくれるダイバーたちを歓迎するために並んで泳いでいます。


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