ちょっとした違いが大きな違い!固有種のアカイセエビさん! 小笠原


- 岩穴に隠れていたのは小笠原諸島の一部だけに分布する大型のイセエビさんの一種で体長は約40cmほどですがなかには40cmを超える巨大なものもいる十脚目イセエビ科イセエビ属アカイセエビさんです・・・アカイセエビさんは昔はカノコイセエビさんのアカエビ型とされていましたが2005年に新種のイセエビさんとして認定されました・・・そんなめでたい固有種のアカイセエビさんなのですが岩の割れ目や岩の軒下などの至る所にごちゃっといるのです・・・角も立派で大きくて太くて貫禄があるのですがユウゼンさんと一緒でその貴重さに反して至る所でアカイセエビさんを見かけるので段々有難味が無くなって興味が薄れてしまいます・・・小笠原の人達の努力の賜物ですしアカイセエビさんには申し訳なく贅沢な話である事はわかっているのですが・・・。


- アカイセエビさんは青紫色にオレンジ色の差し色が入った美しい歩脚と背中にある白い鹿の子が特徴です・・・カノコイセエビさんに似ていますがカノコイセエビさんとアカイセエビさんの違いはアカイセエビさんの短めの第一触角には白い帯がないことと第二腹節背面の溝が側部の溝と連続していないことなどが特徴でここでカノコイセエビさんと見分けられます・・・でもアカイセエビさんは暗い岩穴の中に隠れていますし触角もウゴウゴと動かしているので海の中ではわかりづらいです・・・よく見ようと近づいて行くとアカイセエビさんはさらに奥に引っ込んでしまいますしギーギーと泣いて威嚇してきます・・・アカイセエビさんの身体の棘は結構鋭いので美味しそうだなあとヨコシマな気持ちになって油断して近づき過ぎると危ないです。


- アカイセエビさんの繁殖期は5~8月でメスは産卵した小さな卵をブドウの房状にして腹肢に抱え孵化するまでの1~2か月間大切に保護します・・・今回も産卵の時期だったので卵を抱えた若干小ぶりのアカイセエビさんのメスを見かけましたがその前でオスのアカイセエビさんが大きな身体でギーギーと泣きながら威嚇していました・・・このオスの威嚇の仕方がかなり真剣でしたのでもしかしたらもうすぐ生まれそうなのでしょうか?・・・孵化した幼生はフィロソーマ幼生または葉状幼生と呼ばれる形態で広葉樹の葉っぱの様な透明な体に長い遊泳脚がついており親とは似つかない体型をしています・・・このフィロソーマ幼生は海流に乗って外洋まで運ばれプランクトンとして過ごすのですが期間は種によって異なり約300日間に及ぶ浮遊生活を送ります。


- 大切に育てられたアカイセエビさんの卵が孵化した時のフィロソーマ幼生は体長1.5mmほどしかないのですが成長につれて30回ほど脱皮して体長30mmほどに成長してプエルルス幼生という形態に変態します・・・30回も脱皮して変態するなんて大変な作業ですね・・・そんなプエルルス幼生はガラスエビと俗称され親エビさんに似た外見となりますが体はまだ透明でしかも大顎や消化管が一時的に退化し餌をとらないという特徴があります・・・プエルルス幼生が何も食事をとらないなんてちょっと心配になりますがフィロソーマ幼生の時に蓄えた脂肪をエネルギーに泳ぎながら沿岸部の岩礁を目指していくそうです・・・岩礁にたどりついたプエルルス幼生は約1週間で脱皮し親エビさんと同じ体型の稚エビさんとなって歩行生活を開始するそうです。


- ちなみにイセエビさんの日本国内での県別漁獲高は年によって違いますが千葉県あるいは三重県が1位を争っておりイセエビさんの漁期は10月から4月にかけてとなります・・・5月から8月は産卵期なので資源保護を目的にイセエビさんの禁漁としている地区が多いようです・・・イセエビさんと言うと名前の通り三重県の伊勢市が一番なのかなと思っていましたが千葉県のイセエビさんも頑張っているのですね・・・ところでイセエビさんは姿造りなどで供されることから流通時には他の食用エビさんに比べて姿形が厳格に評価されます・・・イセエビさんの2本の触角や脚が破損すると商品価値が下がってしまうため漁獲時には一匹ずつ網から外すなど慎重に扱われます・・・大切に扱われることは良い事だと思いますが触覚や足が破損してもイセエビさんの味は変わらないので商品価値が下がるというのはどうかなと思ってしまいます。


コメント