どちらが臆病で健気な雄のハタタテハゼさん?

- ペアでそろってジッとこちらを睨んでいるのはスズキ目クロユリハゼ科ハタタテハゼ属のハタタテハゼさんです・・・ハタタテハゼさんはとても臆病なハゼさんで写真を撮ろうと近づいてもすぐにぴゃっと巣穴に隠れてしまいます・・・そのためなかなか近づくことができずいつも遠くからの撮影となってしまいフラッシュの光が当たらず私としては腕を試され困ってしまうハゼさんなのです・・・折角綺麗な色をしているハタタテハゼさんなのですが色がうまく表現できず申し訳ないと思ってしまうのです・・・結構遭遇確率が高くいろいろな所に出没してくれる小型のハゼさんで今回もいろんな所でピョコピョコしているペアを見つけました・・・なので何とかフラッシュを当てたいとそーっと近づいて見るのですが直ぐに気づかれて隠れられてしまう私にとっては撮影難度の高いハタタテハゼさんなのです


- ちょっと潮の流れによって曲がっていますが写真の様にピンと立ったユニークな背鰭が旗に似ていることからハタタテハゼさんという名前がついています・・・ハタタテハゼさんはペアでいる事がほとんどですが雌雄を見分ける方法は難しく外見上の違いはほとんどありません・・・しいて言えばオスの方が警戒心が強いのか臆病なのかよくわかりませんがオスはメスより素早く巣穴に逃げこみます・・・という事は1匹で見かけるハタタテハゼさんは度胸あるメスのハタタテハゼさんということでしょうか?・・・またハタタテハゼさんの産卵期は春でメスは産卵期に腹が大きくなる傾向があるのでそこでも区別できます・・・ハタタテハゼさんのオスはせっせと卵を産む場所を掘りメスが卵を産み付けますが産卵後はオスが卵を保護し孵化するまで世話をするそうです・・・臆病なだけかと思いましたがなかなか健気なオスのハタタテハゼさんなのです。


- ペアで仲良くホバリングをしているハタタテハゼさんは体が細長く側扁し第一背鰭の前方は糸状に長く伸びています・・・この糸状に長く伸びた第一背鰭が旗を立てた竿のように見えることからハタタテハゼさんの名前が付けられています・・・確かに下の写真の2匹のハタタテハゼさんもペアで仲良くピント旗を立てて厳しい表情で意思表示をしていますね・・・それからハタタテハゼさんの尾鰭の後縁は丸くなっていて体の色はパープルホワイトですが尻鰭辺りから後半はオレンジ色~濃い赤色のようなグラデーションの色合いをしています・・・またハタタテハゼさんの頭部は淡い黄色になっていて頬の辺りには小さな青いソバカスのような斑がたくさんあって何とも可愛らしい顔をしています。・・・ハタタテハゼさんは大きくても全長7cm程度でとてもポップで可愛いハゼさんなのです。


- ハタタテハゼさんによく似たお友達のシコンハタタテハゼさんやアケボノハゼさんという方達がいますが姿形は似ていますが体の色の違いから見分けることができます・・・シコンハタタテハゼさんは和名にも紫紺と付いているくらい体全体が淡いパープルでとても美しく繊細な感じの大きさ4~7cmくらいのハゼさんです・・・でも深場が大好きで個体数も少ない為めったにお目にかかれない貴重な種類のハゼさんですが私がパラオで出会ったシコンハタタテハゼさんもその美しさたるや正に至高のハゼさんでした・・・英名はヘルフリッチ・ダートフィッシュと言います・・・ハタタテハゼさんも確かに綺麗なのですがやはりシコンハタタテハゼさんの美しさにはかないませんし遭遇確率も含めて別格だと思います。


- アケボノハゼさんは大きさ4~7cmくらいでハタタテハゼさんの赤茶が紫系に置き換えた感じのハゼさんです・・・アケボノハゼさんもシコンハタタテハゼさんと同様水深20~30m以深の深場を好みサンゴ礁斜面の砂礫が混じった砂地やガレ場の低層で見られます・・・アケボノハゼさんはハタタテハゼさんよりかなり派手で目立ちますが英名はエレガント・ファイヤーゴビーと言います・・・確かにアケボノハゼさんはハタタテハゼさんよりエレガントで情熱的なイメージです・・・アケボノハゼさんに比べハタタテハゼさんはどちらかと言うと奥ゆかしい和風のイメージですかね?・・・ハタタテハゼさんは比較的浅いサンゴ礁の砂礫底などで暮らしていますが中には深いところで暮らしている変わり者もいます・・・もしかしたら深い所に住んでいるハタタテハゼさんは自分をシコンハタタテハゼさんだと勘違いしているのかもしれませんね。


- ハタタテハゼさんはサンゴ礁の砂礫底など隠れる穴のある所で仲良くペアで泳いでいることが多く寿命は5年程度と言われています・・・ハタタテハゼさんを近くで見ると薄い緑白色の頭に薄紫色の細い綺麗なラインがあって頬には淡いそばかす模様が可愛く身体の色は尾鰭に行くほど濃くなる赤いグラデーションになっています・・・このハタタテハゼさんはハタタテハゼ属の中で最もポピュラーな種類で礁外縁・礁斜面などの砂礫まじりの砂底やガレ場の低層でよく見られますが本当にちょっとした動きにも敏感に反応してしまいます・・・ダイビング中写真を撮ろうと準備して構えると「エ!!もう隠れちゃったの?」と言うことがしょっちゅうです・・・それからハタタテハゼさんは中層を単独かペアでホバリングしていますがまだ小さなハタタテハゼさんはたくさん群れていることもあるそうです。



- 下の写真でもわかる通りハタタテハゼさんはキリッとした目つきをしていますが実はハゼさんの仲間たちは視力がとてもいいのです・・・だからホバリングしながら近くに敵はいないか?危険が迫っていないか?と常に目を光らせて睨んでいるのです・・・眼の悪いエビさんと共生するネジリンボウさんやギンガハゼさんなどはエビさんに安全な巣穴を提供してもらう代わりに用心棒の役割を果たし危険な外敵が近づいて来ないか監視し近づいて来たらエビさんに素早く知らせるのです・・・正にエビさんとハゼさんはWin-Winのいい関係を築き上げているんですね・・・どの写真のハタタテハゼさんもお前は怪しいやつではないか?とホバリングしながら私を品定めしますから驚かさないようにそっとそっと撮影させていただきましょう。


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