ちょっとした違いが大きな違い!固有種のアカイセエビさん!

- 岩穴に隠れて蠢くものがいると思ったら小笠原諸島の一部だけに分布する大型の十脚目イセエビ科イセエビ属アカイセエビさんではないですか・・・アカイセエビさんは水深10~25mほどの岩礁域で暮らしていて岩の隙間などに群れていることがあります・・・アカイセエビさんの体長は通常約40cmほどですが中には40cmを超える巨大に育ったアカイセエビさんもいるそうです・・・確かにこれは迫力だなという大きなアカイセエビさんもたまに見かけましたがアカイセエビさんは昔はカノコイセエビさんのアカエビ型とされていたそうです・・・でも2005年にアカイセエビさんは新種のイセエビさんとして認定されたのです・・・アカイセエビさんにとってもやはり新種と認められたことは嬉しい事だったんでしょうね。

- そんな色合いもめでたい固有種のアカイセエビさんなのですが小笠原の海では岩の割れ目や岩の軒下などの至る所にごちゃっといるのです・・・写真の様に大きく太く立派な角を持っているアカイセエビさんは貫禄があるのですがユウゼンさんと一緒でその貴重さに反して至る所で見かけるので段々有難味が無くなって興味が薄れてしまう私なのです・・・ガイドさんがここに居ますよって教えてもらっても態度には出しませんが「ああ!またアカイセエビさんね!ありがとうございます」と思ってしまう私でした・・・アカイセエビさんがこれだけ増えたのは小笠原の人達の努力の賜物ですしアカイセエビさんには申し訳なく贅沢な話である事はわかっているのですがこれだけ見かけるとついつい・・・何はともあれ本当に美味しそうなアカイセエビさん達ですがイセエビさんの仲間は全世界の熱帯から亜熱帯にかけて分布しています。

- イセエビさんの中には水深数百mの深海に生息するものもいますがほとんどのイセエビさんは浅い海で暮らしています・・・浅い海で暮らしているイセエビさん達はいいのですが水深数百mとなると周りは光も届かず真っ暗だと思うのですが寂しくないのでしょうか?・・・まあもともと暗いところが好きなイセエビさんですからそんな事は気にしないのかもしれませんね・・・またイセエビさん達は体長10cmを超えるものが多いのですが中には触角を除いた体長が50cmに達するニシキエビさんという大きなイセエビさんもいます・・・イセエビさんの体つきは太短い円筒形で棘や突起が多い頑丈な外骨格に覆われています・・・また体のみならず歩脚と第2触角も外骨格が発達し太く強靭な構造となっています。

- アカイセエビさんは青紫色にオレンジ色の差し色が入った美しい歩脚と背中にある白い鹿の子が特徴です・・・前述した様にカノコイセエビさんに似ていますがカノコイセエビさんとアカイセエビさんの違いはアカイセエビさんの短めの第一触角には白い帯がないことと第二腹節背面の溝が側部の溝と連続していないことそして胸脚の指節を除く各節が青紫色に染まっていることなどが特徴でここでカノコイセエビさんと見分けられます・・・でもアカイセエビさんは暗い岩穴の中に隠れていますし触角もウゴウゴと動かしているので海の中ではわかりづらいです・・・よく見ようと近づいて行くとアカイセエビさんはさらに奥に引っ込んでしまいますしギーギーと泣いて威嚇してきます・・・アカイセエビさんの身体の棘は結構鋭いので美味しそうだなあとヨコシマな気持ちになって油断して近づき過ぎると危ないです。

- アカイセエビさんの繁殖期は5~8月でメスは産卵した小さな卵をブドウの房状にして腹肢に抱え孵化するまでの1~2か月間大切に保護します・・・今回も産卵の時期だったので卵を抱えた若干小ぶりのアカイセエビさんのメスを見かけましたがその前でオスのアカイセエビさんが大きな身体でギーギーと泣きながら威嚇していました・・・このオスの威嚇の仕方がかなり真剣でしたのでもしかしたらもうすぐ生まれそうなのでしょうか?・・・孵化した幼生はフィロソーマ幼生または葉状幼生と呼ばれる形態で広葉樹の葉っぱの様な透明な体に長い遊泳脚がついており親とは似つかない体型をしています・・・このフィロソーマ幼生は海流に乗って外洋まで運ばれプランクトンとして過ごすのですが期間は種によって異なり約300日間に及ぶ浮遊生活を送ります。

- 大切に育てられたアカイセエビさんの卵が孵化した時のフィロソーマ幼生は体長1.5mmほどしかないのですが成長につれて30回ほど脱皮して体長30mmほどに成長してプエルルス幼生という形態に変態します・・・30回も脱皮して変態するなんて大変な作業ですね・・・そんなプエルルス幼生はガラスエビと俗称され親エビさんに似た外見となりますが体はまだ透明でしかも大顎や消化管が一時的に退化し餌をとらないという特徴があります・・・プエルルス幼生が何も食事をとらないなんてちょっと心配になりますがフィロソーマ幼生の時に蓄えた脂肪をエネルギーに泳ぎながら沿岸部の岩礁を目指していくそうです・・・岩礁にたどりついたプエルルス幼生は約1週間で脱皮し親エビさんと同じ体型の稚エビさんとなって歩行生活を開始するそうです。

- ちなみにイセエビさんの日本国内での県別漁獲高は年によって違いますが千葉県あるいは三重県が1位を争っておりイセエビさんの漁期は10月から4月にかけてとなります・・・5月から8月は産卵期なので資源保護を目的にイセエビさんの禁漁としている地区が多いようです・・・イセエビさんと言うと名前の通り三重県の伊勢市が一番なのかなと思っていましたが千葉県のイセエビさんも頑張っているのですね・・・ところでイセエビさんは姿造りなどで供されることから流通時には他の食用エビさんに比べて姿形が厳格に評価されます・・・イセエビさんの2本の触角や脚が破損すると商品価値が下がってしまうため漁獲時には一匹ずつ網から外すなど慎重に扱われます・・・大切に扱われることは良い事だと思いますが触覚や足が破損してもイセエビさんの味は変わらないので商品価値が下がるというのはどうかなと思ってしまいます。

- イセエビ属の中で日本近海で見られるのはこの写真のアカイセエビさん以外には全身暗赤色で体長30cm程度の代表的なイセエビさんがいます・・・またイセエビさんに似ていますが身体に白や橙色の小さな斑点があって第一触角に7本の横縞のある30cm程度のカノコイセエビさん・・・イセエビさんに似ていて歩脚に白い縦線があり第一触角に縞模様が無い30cm程度のシマイセエビさんもいます・・・また身体は青灰色がかっていて第一触角に7本の横縞があり歩脚は黒白のまだら模様で腹肢と尾は橙色で腹部の節ごとに短い毛が生えた溝のある30cm程度のケブカイセエビさんもいます・・・その他に体色は黒色で頭胸甲に黄色い模様と腹の節ごとに黄色の縁取りがありさらに歩脚には黄色の縦線と腹肢は赤黒の縦縞第2触角の根本と尾の先が赤色の30cm程度のカラフルなゴシキエビさん・・・頭胸甲は水色で突起が橙色で腹部は黒の横縞があり両脇に黄色の斑点が2つずつある第一触角と歩脚は白黒のまだら模様で最大50cmを超えるイセエビ属最大のニシキエビさんがいます。






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